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短編が11編。推理小説もあり、内容や発表年代もさまざまでバリエーションに富んだ短編集。
2002.12.25-199 酒みずく・語る事なし(山本周五郎、新潮文庫)
新聞や雑誌に発表したエッセイ集。「青ベか日記」には、貧困や飢餓、失恋などの悩みと苦しみが凝縮されている。「現代養生訓」(高橋義孝氏との対談)と「作家の素顔」(河盛好蔵氏との対談)にユーモアとインテリジェンスがある。
2002.12.18-198 合併する自治体、しない自治体(月刊「地方自治職員研修」編集部/編、公職研)
2002.12.14-197 ボランティア活動の進展と自治体の役割(山梨学院大学行政研究センター/編、地方自治ジャーナルブックレット)「合併事例の光と影」に、合併問題で混乱する自治体の模様が詳細に。「地方交付税の段階補正の見直しなどはこれに拍車をかけかねない。この縮小幅は、一概に言えないが、10か年で2割程度が縮小するとしておくのも1つの見識と言えよう。」と奈良女子大学教授の桜井勝氏は指摘する。
1998年に開催されたシンポジウムをまとめたもの。パネリストの一人である、シーズ=市民活動を支える制度を作る会の松原明氏は言う。「これから日本の社会を豊かにするためには、政府が出す公共サービスももちろん重要だし、その責任等も明確にしていかなければならないけれども、一方で市民が新しい公共サービス、社会サービスをどんどん自由に生み出せることによって私たち自身が選択肢がある社会をつくっていく。これが求められることであって、そのためにはサービスを、提案・企画して、生み出して、提供していくというような組織体が政府の他に必要になってくる。それがNPOなわけです。」「行政がNPOと同じことはやらない。NPOができることは行政はやらない」。また、東京都北区の職員である谷本有美子氏は、「今まで行政がサービスを過剰にやりすぎてきた部分があります。本来地域の中での課題というのは、もしかすると行政がやるべきじゃなくて、自分たちでまず解決をして、そこでできないところを税金を集めて行政という事務局にお願いするという形があるべき姿なんじゃないかと私は思うんですが、今までその地域の活動をすべて自分たちで解決できないから、行政がやってくれるんでしょっていんふうに投げてきているところがたくさんあると思います。行政サイドも、それをやることが自分たちの仕事だと自分たちの存在意義だと思ってやってきたんですけれども、よくよく考えてみると、地域の問題というのは、行政がやるんじゃ解決できないことがたくさんある。」と言う。
2002.12.13-196 もののふ(柴田錬三郎、新潮文庫)
「私は、『気骨』という言葉が、好きである。これが男子のバックボーンである、と思っている。この『気骨』は、日本男子の伝統であったはずである」と柴田錬三郎氏は言う。柴田錬三郎氏の「ダンディズム」に深く関わる「気骨」と「心意気」は、武士道ともつながる。もののふ達の「気骨」と「心意気」を描いた短編が12編。
2002.12.11-195 隠密利兵衛(柴田錬三郎、新潮文庫)
剣鬼の壮絶な生と死を描いた短編が6編。
2002.12.09-194 徳川浪人伝(下)(柴田錬三郎、新潮文庫)
これぞ大団円というエンディング。出会いと別れ、財宝探し、男と女、すれ違い、親子の関係、内部分裂などエンターテェインメントの要素を残らず盛り込んだような大衆小説。歴史上で有名な人物も登場し、スケールの大きな小説です。
2002.12.07-193 徳川浪人伝(上)(柴田錬三郎、新潮文庫)
魅力的で怪しい人たちが多く登場。それらの登場人物が一部的に関係しながら、物語は分散的に進行していく。緻密で計算された構成が、おもしろ味を増している。
2002.12.06-192 インタビュー術!(永江朗、講談社現代新書)
インタビューをする側の立場から、その現場や裏側、スキルなどを。インタビューを読む側から、その楽しみ方や危険性など。インタビューはライブ感あふれる、生っぽい加工品です。
2002.12.06-191 英雄にっぽん(池波正太郎、集英社文庫)
主家再興に生涯を賭けた武将・山中鹿之介を内省的に描いている。山中鹿之介は、非運の芽が自分の生涯のどこに、どの行動に根ざしていたのかを知って死んでいったのだろうか。
2002.12.04-190 青春漂流(立花隆、講談社文庫)
挫折の後、自分らしい生き方を歩む若者たちをインタビュー。手づくりナイフ職人や猿まわし調教師、精肉職人、動物カメラマン、鷹匠など11人の人生が描かれている。団塊の世代も多く登場し、彼らの言葉に共感する。この本の発行は1988年、現在彼らがどのような生き方をしているかを知りたくなった。
2002.12.03-189 アメリカン・マラソン(筑紫哲也、角川文庫)
ほぼ1年間に及ぶアメリカ大統領選挙。4年に1度のこのイベントには膨大な資金と労働量が必要。サバイバル・ゲームでもあるアメリカ大統領選挙にはあらゆる戦術・戦略が駆使される。また、格好の商品として新聞やテレビなどのマスメディアが、その勝敗を大きく左右する。
2002.12.01-188 定年ゴジラ(重松清、講談社文庫)
2002.11.29-187 眠狂四郎無頼控(六)(柴田錬三郎、新潮文庫)地域にも家庭にも居場所がない定年後世代の生活と交流が、哀しくてほほえましい。定年を数年後に迎える団塊の世代の方は、ぜひお読みください。しみじみとしてあたたかいです。
季節に基づいた伝統や行事を大切にする江戸の文化が、虚無的で根無し草の眠狂四郎と対照的に描かれている。眠狂四郎は孤独な旅人です。
2002.11.28-186 眠狂四郎無頼控(五)(柴田錬三郎、新潮文庫)
眠狂四郎は、次から次へとさまざまな事件に巻き込まれていく。登場する女性たちは、柴田錬三郎氏の愛する女性像であり、男性たちの愛する女性像です。
2002.11.27-185 地域再生の経済学(神野直彦、中公新書)
目からウロコという風にはいきませんが、さまざまなヒントがあり、とても触発されました。「自然環境の保護や福祉・医療・教育・文化などの対人社会サービスは、家族内部や地域社会内部共同作業や相互扶助によって供給されてきた。ところが、老人の介護にしろ、幼児の育児にしろ、家族機能が縮小したために、いまや地方自治体がそれを代替的に引き受けざるをえなくなっている。自然環境の保護にしても、また地域文化の振興や教育にしても、地域共同体の機能が縮小しているために、地方自治体が担わざるをえないのである。自然環境の保護や対人社会サービス、文化活動は、家族や地域社会の共同作業や相互扶助で実行されていたとすれば、こうしたサービスは本来、地域社会の構成員が『労務提供』によって負担すればよいことになる」。日本型地域社会再生の可能性がある。
2002.11.25-184 眠狂四郎無頼控(四)(柴田錬三郎、新潮文庫)
週刊誌への連載のせいか、テンポは早いが軽くて物足りない。
2002.11.23-183 眠狂四郎無頼控(三)(柴田錬三郎、新潮文庫)
とにかくテンポが早い。過去を背負った人々や複雑な事件が眠狂四郎を襲う。
2002.11.21-182 眠狂四郎無頼控(ニ)(柴田錬三郎、新潮文庫)
過去を引きずりながら、過去にふりまわされないことが、主人公の魅力でしょうか。
2002.11.18-181 眠狂四郎無頼控(一)(柴田錬三郎、新潮文庫)
場面展開の見事さが映画を観るよう。シリ−ズされるのは、やはり傍役の存在が大きな要素でもある。
2002.11.18-180 市町村合併ノススメ(小西砂千夫、ぎょうせい)
著者は、合併賛成論者である。「まちづくりに成功してきた自治体ほど合併によって、また最初からやり直すことへの抵抗は大きい。大きくすれば、まちづくりがやりにくくなるというのならば、あるいは合併反対もやむをえないかもしれない。一部の住民への利益誘導は戒めなければならないが、まちづくりのためにあえて清貧に甘んじてもいいというのならば、それは尊重すべき見識である。合併はあくまでもまちづくりのためのものだからだ。」このあたりに、合併についての落とし所があるように思う。昭和の大合併時の淡路島のリポートも詳しい。
2002.11.15-179 国家なる幻影(下)(石原慎太郎、文春文庫)
2002.11.14-178 国家なる幻影(上)(石原慎太郎、文春文庫)外交の無能力さや弱点が如実に。アメリカの国際戦略と日本への蔑視なども。おもしろい読み物です。
石原慎太郎氏が書いたものを読むのははじめて。高槻の古本屋さんで見つけたもの。痛覚を持たない元総理の細川氏や海部氏に感じていた違和感は同じ。実名で登場する政治家の言動は興味深い。
2002.11.12-177 密謀(下)(藤沢周平、新潮文庫)
関ヶ原の戦いで上杉勢は、石田三成との密謀を破り参戦しなかった。「血縁のようだった主従の間に、暗い亀裂が口をあけたのを兼続は見た。景勝は謙信のころの古い義を言っている。そこから一歩もすすんでいない。いま、上杉は天下の大勢に遅れるところだと思った。」歴史上の有名な事件や人物を描いた藤沢周平氏にはめずらしい作品。傍役には、藤沢周平氏の作品らしい市井の人物が登場する。
2002.11.09-176 密謀(上)(藤沢周平、新潮文庫)
知謀の将・直江兼続は、主君である上杉景勝とともに織田から豊臣への混乱の時代を、時代を読む確かな眼で生き抜いていく。直江兼続と石田三成との友情や忍びの活躍も楽しい。
2002.11.08-175 日暮れ竹河岸(藤沢周平、文春文庫)
江戸の12カ月を切り取った12の掌遍と広重の「名所江戸百景」を舞台にした7つの短編。いずれも抒情的な短編映画を観ているような気分になる。
2002.11.05-174 功名が辻(四)(司馬遼太郎、文春文庫)
関ヶ原の戦い後、土佐24万石の藩主となるが夫婦には別の問題が発生する。少しさみしいハッピーエンド。
2002.11.05-173 功名が辻(三)(司馬遼太郎、文春文庫)
時代は秀吉から家康に。夫婦は懸命に生き残る道を探る。
2002.11.04-172 功名が辻(ニ)(司馬遼太郎、文春文庫)
信長が倒れ秀吉が天下をとることにより、山内一豊に出世のチャンスが訪れたが、そのペースはあいかわらずスローなまま。この夫婦は時代の流れを読む冷静な眼を持っている。
2002.11.01-171 功名が辻(一)(司馬遼太郎、文春文庫)
山内一豊とその妻のほほえましく不思議な夫婦関係。山内一豊家の主従関係もいい。
2002.10.31-170 闇の絵草紙(多岐川恭、新潮文庫)
2002.10.29-169 余話として(司馬遼太郎、文春文庫)色仕掛けで富豪や権力者から金を奪い取る悪党たちの、小気味良い連作10編。ニヒルな悪党たちは、でカッコ良くて悪がしこい。スピーディーな展開に驚く。
「文化とは、無駄ばなしのことです」。これは池島信平氏の言葉です。そのような「無駄ばなし」を集めたエッセイ集。
2002.10.13-168 獅子(池波正太郎、中公文庫)
90歳をこえても「信濃の獅子」と言われる真田信之が、家督相続をめぐり幕府に戦いを挑む。自分の存在のすべてをかけた戦いに勝利した後、静かにそして厳かにその生涯を閉じる。
2002.10.11-167 無念半平太(柴田錬三郎、新潮文庫)
剣に生きる厳しさと非情さを描いた短編が6編。剣客たちの迫力ある真剣勝負に圧倒される。
2002.10.10-166 忍者からす(柴田錬三郎、新潮文庫)
9編の連作による忍者伝奇小説。熊野権現の忍び「鴉」が時代を超えて歴史上の人物と交錯する。「根も葉もある嘘こそが小説」という、作者らしい空想力と構想力に満ちた作品。
2002.10.07-165 続江戸群盗伝(柴田錬三郎、新潮文庫)
複雑な背景を持った人間が多く登場。やはり、「江戸群盗伝」を先に読まないとね。
2002.10.05-164 貧乏同心御用帳(柴田錬三郎、集英社文庫)
主人公の独身である貧乏同心は、9人の男の孤児と同居。主人公はさえた剣技と名推理で難事件を解決していく。孤児たちの相互扶助と活躍がほほえましい。
2002.10.04-163 少年犯罪と向きあう(石井小夜子、岩波新書)
少年犯罪の原因や背景、少年法の改正など、被害者と加害者の立場から、現状や問題点に向きあう。さまざまな歪みや過度の期待が、子どもたちにプレッシャーを。
2002.10.04-162 剣鬼喇嘛仏(山田風太郎、徳間文庫)
巻末に、「本書中に身体障害・精神障害に関して、今日では好ましくない用語が使用されておりますが、著者が故人であること、および作品の時代背景を考慮し、そのままとしました」と編集部の断り。“最後の忍法帳”にふさわしい、おどろどろしくて奇想天外な短編が7編。コッケイでニヒルで味わい深い。
2002.09.31-161 御家人斬九郎(柴田錬三郎、新潮文庫)
2002.09.21-160 眠狂四郎京洛勝負帖(柴田錬三郎、新潮文庫)痛快な読み物。ダンディでニヒルは斬九郎と、大食で食通の79歳の母親とのからみがおもしろい。文句なしに小気味良い。
柴田錬三郎氏の作品を読むのははじめて。市川雷蔵氏が主演した「眠狂四郎」シリーズの映画の印象から、ニヒルで暗くて少しエッチな印象を持っていたのだが、軽妙で推理小説的な展開に驚く。例の茨木の古書店には、藤沢周平氏や池波正太郎氏、山本周五郎氏の作品がなかったため買ったのだが、なかなかのもでハマりそうです。短編が6編とエッセイが1編。
2002.09.20-159 秘太刀馬の骨(藤沢周平、文春文庫)
幻の剣法「馬の骨」の探るうちに、藩の暗闘や恥部が見えてくる。そして息子を失ったことにより、心の病いを抱える妻。藩と家庭の問題が二つの縦糸となり、物語が進んでいく。見事な結末を迎える傑作。
2002.09.19-158 雲奔る(藤沢周平、文春文庫)
幕末の嵐のなかで、純粋で正義感が強く詩人でもある米沢藩士・雲井龍雄は、時代と戦い、その短い生涯を悲劇的に閉じる。斬首される前の故郷でのひとときの家庭の平穏が哀しい。
2002.09.13-157 放熱の行方(吉岡忍、講談社文庫)
突然逝ってしまった破滅型の歌手・尾崎豊の焦りや苦悩、甘えを、彼の音楽と生きざまから追いかける。「君は」というかたちで、かなり厳しく語りていく。「社会」との関わりを見失った人間の哀しみにあふれている。
2002.09.11-156 テロリストのパラソル(藤原伊織、講談社文庫)
テレビドラマ化され主人公を萩原健一が演じたことを思いだす。他の出演者はまったく思いだせないが。出だしのスピード感のある展開に圧倒され、引き込まれて行く。江戸川乱歩賞と直木賞をダブル受賞して当然の作品。過去の風景と現在の風景、日本の風景とニューヨークなどの外国の風景が錯綜して終末まで一気に読ませる。
2002.09.11-155 小さくても元気な自治体(保母武彦/監修、日本自治体労働組合・総連合政策運動局/編、自治体研究社)
サブタイトルが、「強制合併を超える『もう一つの道』」。総務省の私的研究会「地方自治制度の将来像についての研究会が、2001年5月31日に「小規模市町村の考え方」の素案をまとめた。合併しない人口1万人未満の市町村から憲法上の地方公共団体としての法人格の取り上げや、合併特例法後に残った町村の強制的合併などを内容としている。国がすすめている今回の合併は、明らかに小規模町村を狙い打ちしたものである。元気で独自の「まちづくり」「むらづくり」を行っている小規模自治体を紹介している。それらの個性的な自治体から学ぶべき点は多い。
2002.09.10-154 豊臣家の人々(司馬遼太郎、角川文庫)
貧しい農家のせがれから関白にまで登りつめた豊臣秀吉のおかげで、突然高い地位についた彼の親類縁者たちの悲喜劇。彼ら彼女たちを丹念に追跡することにより、豊臣家滅亡の姿をリアルに描写。北の政所と淀君の対立と分離が豊臣家を滅亡に導いていく。
2002.09.09-153 自治・分権と市町村合併(丸山康人/編著、イマジン出版)
地方自治体が今後10〜20年の間に直面する3つの課題、1.退職する職員がピークを迎える、2.地方自治体の施設の更新、3.地方債や償還や借り換えが集中することから、市町村合併の必要性を説く。政策形成課程における企画部門の強化やスペシャリストの必要性、職員研修などの点から、自治体にはある程度の規模が必要であると言う。
2002.09.06-152 婆沙羅(山田風太郎、講談社文庫)
婆沙羅とは、驕慢で奢侈なことを好む人のことで、小説の舞台は婆沙羅が似合う南北朝。山田風太郎氏が腕をふるえる時代である。いつもの山田風太郎氏と少しイメージが違うので戸惑う。
2002.09.05-151 読むクスリ32(上前淳一郎、文春文庫)
生きる知恵と工夫がいっぱい。元気になる本です。
2002.09.02-150 みささぎ盗賊(山田風太郎、ハルキ文庫)
理科系で読みにくい中短編が5編。特に1編目の「みささぎ盗賊」が読みにくく、5編目の「踏絵の軍師」で納得。
2002.08.29-149 夜明けの星(池波正太郎、文春文庫)
父親を殺された娘と殺した男は、そのことによりそれぞれ波乱にとんだ人生を送る。ある意味で、二人は精一杯生き抜いた。仕掛人や元締の羽沢嘉兵衛、蕎麦屋の「原治」が登場し、うれしくなる。
2002.08.28-148 地方交付税の改革課題(重森暁・関野満夫・川瀬憲子、自治体研究社)
地方交付税の成り立ちと仕組み、問題点を指摘。「基準財政需要額=単位費用×測定単位×補正係数」で「補正の種類は、大ざっぱには、1.種別補正、2.段階補正、3.密度補正、4.態様補正、5.寒冷補正、6.数値急増補正、7.数値急減補正、8.財政力補正の8種類とされている。しかし、これらの種類別にさらに細かいさまざまな補正が行われており、その数は道府県分で166、市町村部で212(いずれも1995年度)に上っている。」「地方交付税全体が、国の中長期の公共事業整備計画にしたがって、地方自治体を財政的に誘導する手段と化した」。昭和の大合併の教訓から、「合併促進法に盛り込まれた財政支援策それ自体が交付金のみならず補助金においても危ういものとなっていた。とくに、具体的には国の補助率を定めた条項に対して予算措置が拘束されることに大蔵省が反対したのである。結局、参議院地方行政委員会が53年度から56年度にかけて少なくとも300億円は必要であるとしたのに対して、政府の措置は3年間で35億円余りの予算しか計上しないというものだった。このことが、合併市町村から『政府の財政支援策が反故にされた』とされる事態への引き金となっていくこととなる。」
2002.08.28-147 旅路(下)(池波正太郎、文春文庫)
勘違いにより非業の死を迎えた武士がいる一方、勘違いしたまま幸せになっていく美貌の若妻のたくましさ。最後の一行が、人生の不条理と残酷さを表わしている。読了後も私の頭の中は、嵐にあったよう。
2002.08.27-146 旅路(上)(池波正太郎、文春文庫)
幸せな美貌の若妻が、夫が斬殺されることにより社会に翻弄される。男たちに襲われ、男たちに助けられる。それにしても池波正太郎の小説の、場面転換の鮮やかさは見事。
2002.08.26-145 ささやく河(藤沢周平、新潮文庫)
彫師伊之助捕物覚えのシリーズ第3弾。込み入った事件の背景を市井の生活を描きながら、退屈させることなく読ませる。主人公・伊之助の過去やいまの生活がストーリーに存在感を与える。「第ニにハードボイルドは大都市の小説である。大都市は無数の見知らぬ同士の集合体である。『探偵』は群衆を分けて歩き、手がかりをもとめては未知の人にあえて接触し、話すのである。誰かの話からつぎに会うべき人物をたぐり寄せ、再び話を聞き出す。そのくり返しがハードボイルド小説の骨格である。ハードボイルド小説を暴力小説と混同してはならない。しいていうならばインタビューの集積がハードボイルド小説をかたちづくるのであり、その巧拙こそが作品としての味わいの濃淡を決める。」と解説で関川夏央が書いている。うまい。
2002.08.23-144 夜の橋(藤沢周平、中公文庫)
短編のうまさがわかる9編の短編。「鬼気」「夜の橋」「一夢の敗北」「梅薫る」などは、まさに短編。「短編小説の楽しみは、書いていて何が生まれるかはっきりしない、そのへんにあるような気がする。」とあとがきで言っているが、構成力とうならす結末のうまさは、どこから生まれるのだろうか。
2002.08.22-143 小説の周辺(藤沢周平、文春文庫)
真摯でまじめなエッセイ集です。郷里や教え子、俳句、日常のことなど。「小説の周辺」というタイトルにふさわしい内容です。タイトルをつけるのがうまい作家です。
2002.08.21-142 闇の穴(藤沢周平、新潮文庫)
人間の闇の部分が見えてくる短編が7編。人間の狂気や業を感じさせて、重くて暗い。解説に、次のように書かれている。「それらの原風景のなかでも、とりわけ重要な意味をもっているのが、川と橋ではないか、とぼくは考えている。川と橋は、藤沢文学の世界を内側から支えている心象風景ではないかと。」
2002.08.18-141 市町村合併(佐々木信夫、ちくま新書)
合併推進派ではあるが、合併の問題点や課題を指摘。まちの将来像についての住民の合意形成がないまま、早急に合併することは危険である。府県制や道州制など今後の地法制度のあり方、これからの自治体のあるべき姿についても言及。「望ましい市町村合併とは合併のプロセスの透明性が高く参加度の高い合併であること、そして将来の地域ビジョンが明確で人員削減、財源の有効利用など中長期のリストラ計画がしっかり示されている合併ということになる。」「ほんとうに15年間も交付金を支払い続ける保障はあるのか。ある段階で交付税のペイオフ措置がないとは言えない。かつて昭和の大合併において、53年(昭和28年)の町村合併促進法にも地方財政平衡交付金の算定上の特例期間や起債の優遇などの財政支援策が明記されていた。同法が施行されていた3年間に、1万近くあった市町村は4割に削減された。しかし最も合併が推進された54年(昭和29年)に地方交付税の改革があり、交付金カットと同時に財政支援も半減された。政府への期待を膨らませた合併町村の多くは、かえって財政危機が深刻化し、そのツケは住民に転嫁された。その歴史の教訓は重い。」「カネ目当ての合併推進ムードが醸成されていくことに危惧を感ずる。合併はあくまでも手段である。どのような地域像、行政像をめざすのか、百年の大計とまでは言わないが、歴史的にみて50年の大計をもたない合併では不安だ。」
2002.08.16-140 花のあと(藤沢周平、文春文庫)
2002.08.14-139 検証・市町村合併(重森暁・関西地域問題研究会/編著、自治体研究社)端正な文章で自然描写が美しい。それぞれに味わい深い珠玉の短編が8編。藤沢周平氏の短編のうまさに気づく作品集。
「地方交付税の額は、毎年度ごとに、基準財政需要額を算定するための単位費用・測定単位・補正係数などが総務省によって変更される。合併算定替えは、地方交付税算定を合併以前の単位で行うだけのものであり、合併以前に交付されていた金額を10年間補償するというわけではない。」地方交付税については、合併しても合併しなくても厳しい状態に陥るのです。自立への道を模索する関西の町村のリポートや関西の最新の合併情報がくわしい。合併のモデルと言われている、篠山市の合併を検証。
2002.08.13-138 逆軍の旗(藤沢周平、文春文庫)
「ありもしないことを書き綴っていると、たまに本当にあったことを書きたくなる。この本には、概ねそうした小説をおさまえている」と作者があとがきで言う。硬質な短編が4編。「事実をたよりに人間を探る」という方法のせいか、登場人物が多く、若干煩雑。
2002.08.11-137 暗殺の年輪(藤沢周平、文春文庫)
直木賞を受賞した「暗殺の年輪」など初期のすぐれた短編が5編。孤独感と焦りにより追いつめられて行く人たちの美学がある。「ただの一撃」が味わい深い。
2002.08.10-136 小説 The SAITAMA市誕生(内山務、公人社)
“住民とともに考える合併シンポ”で講師をお願いしている、さいたま市総合政策部参事の田中義政氏が著者。市町合併の裏側を小説という形でドキュメント。関係者が読めば驚くのでは、というほど赤裸々に具体的に。地方自治や住民との協働など、ゴールは遠くて遥かかなたにある。合併することにより、ドロドロした利害や人間関係が白日の下に。行政組織の問題点や非効率さ、反対勢力との関係など、おもしろい。市町村合併に興味のある方や自治体関係者は、ぜひご一読を。したたかで勇気のある作品です。
2002.08.08-135 江戸忍法帖(山田風太郎、角川文庫)
敵と味方が入り乱れての混戦。主人公の家来や小さな子どもが物語の冒頭に殺されたりして意外な展開。久しぶりに見つけた山田風太郎氏の本だが、荒唐無稽な忍法のすごさを感じないまま、あれよあれよと最後まで読ませる。
2002.08.07-134 日本が「神の国」だった時代(入江曜子、岩波新書)
戦後「黒塗りされた教科書」である国民学校の教科書を鋭く分析。国民学校で教育を受けた世代の影響も大きいが、この教科書がアジアの人びとに与えた怒りも大きい。教育の怖さを実感する。
2002.08.06-133 長門守の陰謀(藤沢周平、文春文庫)
短編が5編。とにかく暑いので、荘内藩のお家騒動を描いた「長門守の陰謀」の風景がなかなか見えてこない。
2002.08.05-132 闇の傀儡師(下)(藤沢周平、文春文庫)
将軍継承問題に巻き込まれた主人公は、妻と離縁した御家人くずれ。大きな状況と小さな状況が、平行してし絡み合って、物語が進行していく。そこに広がりと深さとおもしろさがある。藤沢周平氏が、「負のロマン」に対置する「正のロマン」に挑んだ作品。
2002.08.05-131 闇の傀儡師(上)(藤沢周平、文春文庫)
映画を観るようなシーンの展開がすばらしい。ファーストシーンから次のシーンへなど、本の帯にあるように、まさに「歴史こそエンターテインメント」。
2002.08.03-130 愛憎の檻(藤沢周平、講談社文庫)
2002.07.31-129 真田太平記(十二)(池波正太郎、新潮文庫)青年獄医・立花登シリーズの第三3弾。前作や前々作にくらべると推理モノ的要素が多くインパクトが弱い。岡庭昇は、解説「静かな男の動かざる意志」(このタイトルのネーミングはいい)の中で、「影法師」について、「どこかに深い不安、体をゆさぶる不吉な予感がジャズの暗い旋律のように流れている。ここに藤沢周平に特有な実存の錘りが、きっちりと造型されている」と言う。これも、うまい。
2002.07.29-128 真田太平記(十一)(池波正太郎、新潮文庫)織田、豊臣から徳川への激動の時代の中で、真田家は重要な役割を果たしてきた。厳しい状況の中、自藩の位置や立場を見定めながら、自らの意思を大切にしてきた小藩の知恵とつらさが濃縮されている十二巻であった。
大坂夏の陣での真田幸村の戦いは壮絶で大スペクタル。その死には、悔しさと無念さ、あきらめ、満足が。幸村らしく戦い、そして死んでいった。
2002.07.27-127 真田太平記(十)(池波正太郎、新潮文庫)
大坂冬の陣は始まり、腰くだけ状態の豊臣方が予想通り敗北する。長命で先を読む力のある家康の勝ち。
2002.07.25-126 学習障害(LD)(柘植雅義、中公新書)
学習障害(LD)のある人とは、「平均的な人」ではなく「特に苦手な部分を持っていたり、逆に優れた強みを持っていたりする人」のこと。「ニーズ、サイエンス、パートナーシップ」、これが、学習障害(LD)への教育的支援に求められるキーワードだ、と言う。「学習障害(LD)のある子どもへの教育的対応が、欧米先進国と同様に、わが国においても成功するかどうかは、実は、今後、日本が多様なニーズに対応できるしなやかな成熟した教育や社会を実現できるかどうかの踏絵なのである。」
2002.07.24-125 真田太平記(九)(池波正太郎、新潮文庫)
真田昌幸や加藤清正、浅野幸長らの豊臣方がたよりにする武将が死んで行く。老獪な家康は豊臣秀頼の成長ぶりに危機感を感じ、ついに決意する。
2002.07.23-124 水無瀬野をゆく(奥村寛純/編著、郷土島本研究会)
ミニコミ誌「きつつき」に発表したものを単行本化。ふるさとへの愛情があふれる労作。島本町に住む人は、ぜひ一読を。島本町が歴史の町であることが体感できる。
2002.07.22-123 真田太平記(八)(池波正太郎、新潮文庫)
関ヶ原の戦いが終り、豊臣方の昌幸・幸村の真田親子は九度山へ流され、徳川方の信幸が沼田城主となる。表面的には平穏な世の中ではあるが、水面下では真田忍びなどの熾烈な諜報戦が繰りひろげられている。
2002.07.21-122 水無瀬野の伝説と昔話(奥村寛純/編著、郷土島本研究会)
島本や大山崎に伝わる昔話や伝説などが36編。風景や生活様式が変わることで、これらの話が忘れ去られていくのだろうか。それでは、あまりにも哀しい。この本は、編著者である奥村さんからいただいた。
2002.07.19-121 真田太平記(七)(池波正太郎、新潮文庫)
関ヶ原の決戦で石田三成率いる西軍が徳川家康率いる東軍が敗れた。戦いへのモチベーションの低さが西軍の敗因。平時では見えない人間の生の姿が白日の下にさらされる。真田忍びが壮絶に戦い敗れた。
2002.07.19-120 新版 市町村合併(中西啓之、自治体研究社)
2002.07.16-119 真田太平記(六)(池波正太郎、新潮文庫)Q&A形式で順序立ててわかりやすく解説されている。あとがきで1966年の堺、和泉、泉大津の三市合併問題が紹介されている。合併をめぐる買収事件で泉大津市長と市議6人が逮捕され、三市合併は流れた。
ついに徳川家康と石田三成が対決することに。石田三成の若さと稚拙さ、決断力のなさが豊臣方の最大の敗因。平時で才能を発揮するインテリも戦時には弱い。真田親子が敵味方に分かれて戦うことになる。
2002.07.12-118 真田太平記(五)(池波正太郎、新潮文庫)
秀吉が死亡し、朝鮮出兵への不平や不満をひきずったまま、ますます混乱。徳川家康の老獪さと他の武将の政治的若さが目立つ。
2002.07.11-117 合併しない宣言の町・矢祭(根本良一・石井一男/編著、自治体研究社)
昭和の大合併をキッカケに混乱した矢祭町と周辺自治体。合併しない宣言をせざるをえない特異な背景が、この本でよくわかる。
2002.07.10-116 真田太平記(四)(池波正太郎、新潮文庫)
朝鮮出兵が豊臣秀吉の統一した天下を再び戦乱の世の中に。真田忍者がますます厳しい状況に追い込まれて行く。
2002.07.08-115 そこが知りたい市町村合併(小西砂千夫、日本加除出版)
関西学院大学教授の合併推進論者が言う、「市町村合併はせんですむもんならせん方がええ、という類のもんです。わが身を守るために合併をするかせんか、決断せなあきまへん。するのも見識。せんのも見識。決断を先送りするのは、住民に対して責任を果たしたことになりまへんので、それだけはあきまへん」。合併賛成の当事者からのインタビューで構成。
2002.07.07-114 真田太平記(三)(池波正太郎、新潮文庫)
武田や北条、そして徳川と豊臣に抵抗し翻弄される小藩の哀しみと苦悩が。
2002.07.05-113 真田太平記(二)(池波正太郎、新潮文庫)
真田家の入り組んだ血の秘密が、物語をハラハラドキドキさせる。
2002.07.04-112 真田太平記(一)(池波正太郎、新潮文庫)
茨木の古本屋で全12册を購入。真田藩の諜報活動を行う忍びたちと真田昌幸の関係がいい。大長編らしいスタート。
2002.07.03-111 合併反対を選択したまち(合併反対上尾市民ネットワーク・自治労連上尾市職員労働組合/編、自治体研究社)
住民投票により、合併を反対を選んだ住民たちの活動を詳しくリポート。合併問題を議論する際のむつかしさや困難についても詳しい。賛成派と反対派が同じテーブルについた「合併賛成・反対ジョイントミーティング」を2回開催したことに、住民の意識の高さがうかがえる。賛成派と反対派の対決がドラマティック&ドロドロで興味深い。
2002.07.02-110 市町村合併これだけの疑問(池上洋通、自治体研究社)
市町村の人口規模と住民1人当りの必要経費は、およそ人口規模17万人ぐらいが最も低い。自治体の適正な規模を、さまざまな角度から検証。1963年に出された、基礎的自治体の最低条件についての最高裁判所の判決文です。「単に法律で地方公共団体として取り扱われているというだけでは足らず、事実上住民が経済的文化的に密接な共同生活を営み、共同体意識を持っているという社会的基盤が存在し、沿革的に見ても、また現実の行政の上においても、相当程度の自主立法権、自主行政権、自主財政権等地方自治の基本的機能を付与された地域団体であることを必要とするものというべきである。」
2002.07.01-109 実力経営者伝(梶山季之、徳間文庫)
本田宗一郎(本田技研社長)、小川栄一(藤田観光社長)、井植歳男(三洋電機社長)、小佐野賢治(国際興業会長)などの実力経営者の生い立ちや足跡、考え方をドラマチックに描写。構成力と筆力に圧倒される。
2002.06.30-108 日本の内幕(梶山季之、徳間文庫)
昭和40年から41年にかけて、月刊誌「宝石」に連載されたもの。その頃と全く同じような事柄も多く、唖然とする。異なるのは、マスコミの取材姿勢と取材能力であある。梶山季之氏の筆力と時代を観る目の確かさと変化することを嫌う政官の体質が、相乗的に古さを感じさせない。
2002.06.28-107 風神の門(下)(司馬遼太郎、新潮文庫)
関ヶ原の戦い後の徳川勢力と豊臣勢力の対決が、霧隠才蔵と猿飛佐助の友情や才蔵の愛を通して見えてくる。自由奔放な才蔵の行動に拍手。
2002.06.24-106 風神の門(上)(司馬遼太郎、新潮文庫)
個人主義の伊賀忍者代表・霧隠才蔵と団体主義の甲賀忍者・猿飛佐助の考え方や行動の対比がおもしろい。
2002.06.22-105 谷中・首ふり坂(池波正太郎、新潮文庫)
短編が11編。おなじみの赤穂藩や真田藩を舞台にしたものもあり馴染み深い。「看板」は、「鬼平犯科帳」の原形となった作品で、長谷川平蔵が初めて登場する。
2002.06.21-104 ちょっと待て市町村合併(三橋良士明・自治体問題研究所/編、自治体研究社)
市町村合併のねらいの一つは、「地方分権改革」の「受け皿」づくりにある。「地方分権改革」により国の権限や事務を市町村に移譲するためには、その受け皿になりうるだけの行財政能力・規模が市町村自治体に求められるという論理である。「地方分権改革」は、中央省庁の再編とセットで実施されたものであり、他方、国民生活にかんする行政部門をスリム化することを意図した「この国のかたち」をかえようとするものである。と、このように論破している。
狙い打ちにされているのは、地場産業を持たない過疎に苦しむ町村であるが、どの市町村も「合併」という踏み絵を無視することはできない。
2002.06.20-103 まんぞくまんぞく(池波正太郎、新潮文庫)
こちらも女性が主人公で、主人公の真琴が剣や人との出会いで成長していく姿がさわやか。剣客商売の佐々木三冬が名前だけ登場。
2002.06.20-102 市町村合併と地域のゆくえ(保母武彦、岩波ブックレット)
明治の大合併や昭和の大合併の教訓から平成の大合併を考察。昭和の大合併のときに「合併した松代」と「合併しなかった小布施」を対比している。長野市に編入された旧松代町の場合、合併できた長野市には「行財政の強化」となったかもしれないが、合併した松代地区の「行財政の強化」にはならなかった。
2002.06.19-101 ないしょないしょ(池波正太郎、新潮文庫)
再読。剣客商売番外編とサブタイトルがあるように、秋山小兵衛や小川宗哲が登場し、軍鶏なべ屋「五鉄」や料亭「不二桜」もでてくる。主人公お福の行動力や出会う人たちの魅力でワクワクしながら読了。とても幸せな気分です。
2002.06.19-100 市町村合併と自治体の財政(川瀬憲子、自治体研究社)
2002.06.15-099 あんちゃん(山本周五郎、新潮文庫)合併することによって、自治体の財政はどうなるのか、行政サービスはどうなるかなど、大規模市町村合併や中規模市町村合併のケースを詳細に分析。市町村合併を住民の立場から主体的に検討しないかぎり、合併してもしなくても、住民・自治体に大きなしっぺ返しが待っている。中核市指定に伴う財源保障なき事務委譲についても詳しい。「ますます深刻化する国と地方の財政危機を背景に、行財政のスリム化をすすめるために、『地方分権』の『受け皿』としての市町村合併が推進されている」、「一連の『分権改革』のなかで、地方自治体への権限委譲によって、経費がふえて、自主財源がふえず、逆に地方交付税などの依存財源が減るということになれば、必然的に市町村合併が促されるという論理につながっていく」。
人間の深い心理と生理から、人間関係の素晴らしさを描いた短編が8編。
2002.06.13-098 人間回復の経済学(神野直彦、岩波新書)
多くの場面で活躍し尊敬する論客・神野直彦氏が、予想外の論理で構造改革を斬る。「政治システム」「経済システム」「社会システム」のトライアングルを強制的協力と自発的協力の融合で展開する。「人間のきずなを『社会資本』と呼ぶと、経済発展にとって人間のきずなとしての社会資本が決定的な役割を演じる」、「これまでの工業社会では、生産機能を集結させれば、人間が集住してきた。つまり、生産機能が生活機能の磁場となっていた。しかし、知識社会では生活機能が生産機能の磁場となる。つまり、都市再生の条件は、都市を人間生活空間として再生することなのである」。刺激的で、指導を仰ぎたい神野直彦氏です。
2002.06.10-097 闇の梯子(藤沢周平、文春文庫)
初期の短編が5編。「父と呼べ」「入墨」「闇の梯子」など、哀しくて切なくて感動的。藤沢周平の世界が、凝縮されて作品化された短編集。
2002.06.07-096 風の果て(下)(藤沢周平、文春文庫)
最初のシーンと最後のシーンが直結し、その間にさまざまな過去のシーンが展開していく、見事な構成です。思索的で自省的な主人公の行動と思考に人間的な魅力を感じる。
2002.06.06-095 風の果て(上)(藤沢周平、文春文庫)
現在と過去が並列的に進行していく。そのことが物語をいっそう興味深くし、政治・身分・運・青春などのテーマが重層的に立体的にしている。
2002.06.06-094 学校を捨ててみよう!(三池輝久、講談社+α新書)
不登校や少年犯罪などの問題について、小児科医の立場から科学的に子どもたちの脳に迫る。論旨に一貫性が感じられなく、不満。
2002.06.05-093 人斬り以蔵(司馬遼太郎、新潮文庫)
中短編が8編。池波正太郎氏のあとに司馬遼太郎氏を読むと、司馬氏の文章の硬質さが際立つ。硬いのが好きか、軟らかいのが好きかは、個人的なものだが、やはり池波正太郎氏がいい。
2002.06.02-092 編笠十兵衛(下)(池波正太郎、新潮文庫)
2002.05.31-091 編笠十兵衛(上)(池波正太郎、新潮文庫)浅野の討ち入りをかげで応援し演出する月森十兵衛には、不正義に対する強い憎しみがある。池波正太郎氏の緻密な構成力と創造力に拍手。忠臣蔵ファンは、ぜひご一読を。
柳生十兵衛の血をひき、将軍家から密命を受け幕府政道をただすために暗躍する主人公・月森十兵衛の設定が、とにかくワクワクさせる。浅野浪士と吉良勢の暗闘がからみ、下巻が楽しみ。
2002.05.30-090 賊将(池波正太郎、新潮文庫)
直木賞を受賞する前の短編が6編。いづれも力作で、そのせいかいつになく読むのに疲れます。乃木希典の誠実な武人像を描いた「将軍」について、「わたくしたちが生きるこんにちの社会のありようは、明治という時代が骨格としてもっていた『精神の美』のようなものから、あまりにもとおくへだたりすぎたという感がしなくもない」と、解説で八尋舜右が言う。
2002.05.29-089 実践・行政評価(上山信一・玉村雅敏・伊関友伸/編著、東京法令出版)
自治体によって、さまざまな方法がある行政評価システム。さまざまな方法を取らざるをえないところに、むつかしさと値うちがあり、どんどん成長させ成長していくところに、このシステムの素晴らしさがある。静岡県の「業務棚卸表」と杉並区(事業費に人件費を加えて総事業費としたり、人件費に退職手当を加え発生主義への近似を図っている)の進め方が参考になりそう。
2002.05.27-088 魔界転生(下)(山田風太郎、講談社ノベルス)
山田風太郎ワールドの集大成的な作品。悶絶しそうなぐらいのスケールと迫力で圧倒される。読了後、しばらく茫然。
2002.05.24-087 魔界転生(上)(山田風太郎、講談社ノベルス)
宮本武蔵や柳生兵庫、柳生但馬守、荒木又衛門、宝蔵院胤舜、田宮坊太郎、天草四郎の七剣士が再生し、柳生十兵衛と対決する。十兵衛を慕う美女や根来忍者に由比正雪も登場し、オールスターキャストによる大スペクタル。
2002.05.22-086 外道忍法帖(山田風太郎、角川文庫)
甲賀忍者(由比正雪派)15人と伊賀忍者(幕府派)15人、大友忍者(キリシタン派)15人の3チームが、キリシタンの財宝をめぐって壮絶なバトルを展開。3チーム45人が入り乱れて死闘を繰り返すので、一人一人の忍者のキャラクターと技の印象がうすい。それでも外科的で奇想天外な山田風太郎ワールドはすごい。
2002.05.21-085 非営利組織の経営(P.F.ドラッカー、ダイヤモンド社)
以前はボランティア組織のメンバーの立場から読み、それこそ「目からウロコ」状態になった。今回は、非営利組織と行政の組織との相関性ということを中心に読んだ。行政組織が、非営利組織から学ばなければならない点は多い。リーダーはどうあるべきかについても、くわしく展開されている。
2002.05.19-084 霜の朝(藤沢周平、新潮文庫)
短編が11編。「報復」「嚔」「密告」「歳月」がいい。
2002.05.17-083 たそがれの清兵衛(藤沢周平、新潮文庫)
短編が8編。「たそがれ」「うらなり」「ごますり」「ど忘れ」「だんまり」「かが泣き」「日和見」「祝い人」とあだ名され、馬鹿にされている侍たちが、藩の大事を前に大活躍。自分の価値観や倫理のままに、あくまでも英雄顔することなく行動する。さわやかな短編集。
2002.05.16-082 暁のひかり(藤沢周平、文春文庫)
短編が6編。貧しい生活と戦い、楽しむ人々が多く登場。「しぶとい連中」が滑稽で秀逸。
2002.05.15-081 フレッシャーのための読むクスリ(上前淳一郎、文春文庫)
2002.05.14-080 霧の果て(藤沢周平、文春文庫)新社会人のために、「読むクスリ」30册から選ばれたベスト・セレクション。「アマとプロの差」について、「『アマは和で勝ち、プロは勝って和ができる』プロ野球の西鉄、大洋を率いて、しばしば奇跡のように日本シリーズで優勝し、グラウンドの魔術師といわれた三原脩さんの名句。」
骨太なタテ糸と繊細な人情が絡んだヨコ糸が物語を引っぱって行く。軟派でもあり硬派でもある、主人公の自堕落さと料理屋の内儀との関係にあこがれる。
2002.05.13-079 女性労働と企業社会(熊沢誠、岩波新書)
女性の職場環境や社会状況などのリポート。性別役割意識や性差別について、裁判の判決や外国の事例などを紹介しながら。
2002.05.12-078 よろずや平四郎活人剣(下)(藤沢周平、文春文庫)
もめごとを解決する“仲裁屋”という仕事から、時代や生活、人情が具体的に見えてくる。連作がうまい作家です。解説にもあるが、ひらがなの使い方がきわめてうまい。
2002.05.10-077 よろずや平四郎活人剣(上)(藤沢周平、文春文庫)
不景気の嵐が吹き荒れる江戸時代、旗本の妾腹である主人公が仲裁屋を開業。庶民の生活と知恵、たくましさがさまざまな事件から見えてくる。家庭の複雑な事情や友だち関係、幕府の政治などが物語を盛り上げる。
2002.05.08-076 消えた女(藤沢周平、新潮文庫)
「彫師伊之助捕物覚え」シリーズの第1作。ストイックで意志が強く、陰のある主人公の活躍は、江戸時代の私立探偵。彼の言動にインテリジェンスの魅力を知る。気になるシリーズで、藤沢周平氏はシリーズものがうまい。
2002.05.05-075 知事が日本を変える(浅野史郎・北川正恭・橋本大二郎、文春新書)
彼ら3人の登場が地方自治体を活性化させおもしろくしている。職員の意識改革や財源の確保などの自治体の抱える課題や、知事として選挙をどのように戦うかや政党との関係など興味深い。この鼎談から3人の知事を評価すると、1位・北川正恭、2位・浅野史郎、3位・橋本大二郎。
2002.05.05-074 一歩の距離(城山三郎、文春文庫)
「特攻を志願する者は一歩前へ!」。この一歩の重さや大きさを描いた「一歩の距離」と「マンゴーの林の中で」の2編。城山三郎氏がこの2編を書かねばならない必然性を感じる。
2002.05.04-073 忘れ得ぬ翼(城山三郎、文春文庫)
敗色が濃厚になってきた中、飛行機と飛行機乗りのさまざまな戦争とさまざまな戦後を描いた8編。「戦友たちは、こういう平和のために死んで行かねばならなかったのかと、むしろそのことで心の痛みを感じもする」。
2002.05.02-072 新 地方自治の論点106(恒松制治/監修、時事通信社)
地方自治の問題・課題・動きについて、「地方の世紀」「税と財政」「公務員と行政改革」「環境とリサイクル」「住民と地域再生」「都市の問題」「文化と子ども」「福祉と共生」「情報化と自治体」のテーマで、「官」「学」「民」などから101人の論客が時論を展開。自治体のがんばりから自治体と国の乖離が見えてくる。「地方の世紀」と「税と財政」が熱い。
2002.05.02-071 望郷のとき(城山三郎、文春文庫)
伊達政宗の使節一行が、不安を抱えたままメキシコをめざして仙台を出発。彼らの苦難の日々をフィクションとして紹介する一部とその後の彼らの子孫の運命を追いかけるノン・フィクションの二部で構成されている。情報や通信設備のない自然も慣習も異なる国での、侍たちの望郷の念はせつなく重い。
2002.04.30-070 奇貨居くべし 天命篇(宮城谷昌光、中公文庫)
一商人から秦の宰相までのぼりつめた呂不葦の生涯は、自分と社会に対しあくまでも自然で素直な流れである。人との出会いと別れが濃密な信頼関係のなかにある。
2002.04.26-069 風雲海南記(山本周五郎、新潮文庫)
いつものうまい書き出しで始まるスケールの大きい大長編。タテ糸とヨコ糸が複雑にからみあって、物語が進行していく。「山本は小説の題名をつけるのが、もっとも不得手で、『楽譜のように、作品第なん番といったぐあいに行かないものかね』と嘆く…」と解説にある。
2002.04.24-068 ならぬ堪忍(山本周五郎、新潮文庫)
短編が13編。いづれも山本周五郎氏のやさしい目線とさわやかな余韻を感じる。
2002.04.22-067 玄鳥(藤沢周平、文春文庫)
新渡戸稲造はその著「武士道」の中で、かつての士にとって最も重んじられたのは廉恥心であったとし、こう言っている、と解説にある。「武士の教育において守るべき第一の点は品性を建つるにあり、思想、知識、弁論等知的才能は重んぜられなかった」「廉恥心は少年の教育において養成せらるべき最初の徳の一つであった」「虚言遁辞はともに卑怯と看做された」。廉恥心を持った武士や町人たちが登場する短編が5編。
2002.04.22-066 風雪の檻(藤沢周平、講談社文庫)
獄医立花登が事件を解くシリーズの第二弾。第1話のエピソードが第5話の伏線になっていたりで、そのあたりの趣向も楽しい5編。
2002.04.21-065 堀部安兵衛(下)(池波正太郎、新潮文庫)
多くの人々との出会いと別れが凝縮されてくる後半部分は、涙が出てくるほど哀しくて切ない。久しぶりに、まいりました。読了後、しばし茫然としてしまいました。
2002.04.19-064 堀部安兵衛(上)(池波正太郎、新潮文庫)
山田風太郎氏を読んだあとは、やはり池波正太郎氏です。人との出会いの大切さや人から学び教えられることの大切さが伝わってくる。人間が成長していくことの素晴らしさを教えてくれる。
2002.04.17-063 柳生忍法帖(下)(山田風太郎、講談社文庫)
スト−リー展開が重層的でテンポがあって奇想天外だからすごい。山田風太郎ワールドに大満足、大喝采。映像的なのだが、どんな名監督が映画化しても原作には勝てないだろうな。
2002.04.17-062 柳生忍法帖(上)(山田風太郎、講談社文庫)
柳生十兵衛が恨みをはらそうとする女7人を助け、大活躍する忍法モノ。柳生十兵衛もいいが、残虐で特異な能力を持つ敵も、個性的でなかなか魅力的(?)。
2002.04.16-061 行政革命(デビッド・オズボーン/テッド・ゲ−ブラ−、日本能率協会マネジメントセンター)
アメリカの実務家の間で評判になっただけでなく、政治的課題の解決にも影響を与えた本です。コンセプトは“舟の櫓を漕ぐ行政”から“舵を取る行政”への転換。舵を取るためには起業化精神に富む官僚に創造性を発揮する機会を与え、従来の発想にとらわれずに、自由市場の原理を最大限活用しながら櫓を漕ぐことを委任する必要性を説く。組織面では、“階層的な組織”から“フラットな組織”にして第一線の人々に権限を委譲し、成果に基づく業績評価制度を導入する必要性も。1.触媒としての行政、2.地域社会が所有する行政、3.競争する行政、4.使命重視の行政、5.成果重視の行政、6.顧客重視の行政、7.企業化する行政、8.先を見通す行政、9.分権化する行政、10.市場志向の行政の10章で構成されている。
かなり期待して読んだのだけど、ピンとくる部分が少なかった。
2002.04.15-060 奇貨居くべし 飛翔篇(宮城谷昌光、中公文庫)
前作である黄河篇を読んでから2年以上経つので、思い出しながら読了。主人公・呂不葦の時代を読む目の確かさと好機にのぞむ姿勢がいい。商人として成功した呂不葦が、ついに政治の世界へと踏みこんでいく。久々の宮城谷昌光ですが、漢字が多いのに読みやすいのは、確かな文章力のせいか。
2002.04.15-059 花咲ける上方武士道(司馬遼太郎、中公文庫)
2002.04.13-058 夜の波(黒岩重吾、角川文庫)「武家もそろそろしまいだな」と、公家が身体で感じた幕末を描いた679ページの大長編。司馬遼太郎氏はやはり長編でその力を発揮する。
作者の経歴が濃厚に生かされた短編が7編。黒岩重吾氏の作品には、いつも正義感と人間の哀しみが底に流れている。
2002.04.11-057 象牙の穴(黒岩重吾、角川文庫)
産学協同の渦の中で、金と女に溺れていく大学助教授。なかなかのミステリー。
2002.04.10-056 明日なき巡礼たち(黒岩重吾、講談社文庫)
薬品業界の舞台にした長編サスペンス。暗い過去を背負った魅力的な3人の女性が登場し、スト−リーを盛り上げる。
2002.04.08-055 背徳のメス(黒岩重吾、角川文庫)
歪んだ正義感を持つ医師の行動を通じて病院内部の問題が浮きぼりになってくる。読み始めて、以前に読んだことに気づく。
2002.04.08-054 戦国幻想曲(池波正太郎、新潮文庫)
戦乱の時代を槍術の腕をたよりに生きた渡辺勘兵衛の、主人さがしと主人との確執。強気と弱気の性格を持つ渡辺勘兵衛の、主人や妻子との会話が楽しくてほほえましい。
2002.04.05-053 侠客(池波正太郎、角川文庫)
大満足大満腹の本文だけで671ページの池波正太郎ワールドです。テンポの早いストーリー展開にシーンの転換と時代経過の描写はさすが。侠客の元祖といわれる幡随院長兵衛の生涯を描いた大長編だが、一気に読了。時代をどのようにとらえ、どのように行動するかなどを、友である水野十郎左衛門との生き方の対比で明確に。友情という言葉が重くてつらい。
2002.04.03-052 春秋の檻(藤沢周平、講談社文庫)
青年獄医・立花登が、囚人が抱える悩みや苦しみに対し正義感と柔術で応える。藤沢周平氏が監獄から見えてくる世の中の矛盾や不合理をやさしくやわらかに見つめる。
2002.04.02-051 隠し剣孤影抄(藤沢周平、文春文庫)
“隠し剣”の連作が7編。それぞれが味わい深く、名品。剣技のアイデアもさすがだが、剣客の宿命・業が哀れ。
2002.04.01-050 漆の実のみのる国(下)(藤沢周平、文春文庫)
2002.03.29-049 漆の実のみのる国(上)(藤沢周平、文春文庫)藩改革に苦しむ上杉鷹山を描いた、藤沢周平氏の遺作。進まぬ改革に苦しみながらも、いつも明日を見据えて思考する上杉鷹山氏の粘り強さと我慢強さに、日本人の哀しみと素晴らしさを感じる。
困窮のどん底にある藩で、改革派と守旧派が暗闘する。現代の多くのシーンがオーバーラップしてくる。
2002.03.24-048 赤い蝋人形(山田風太郎、廣済堂文庫)
悲喜劇を距離感をおいて描いた短編が6編。いつもの山田風太郎氏と印象が異なり少々とまどう。
2002.03.22-047 妖怪(司馬遼太郎、講談社文庫)
室町末期のおどろおどろしい時代に、「妖怪」たちが出没する。「妖怪」たちの存在が許されるような、存在を望むような頽廃した時代を描いた大長編。久々の司馬遼太郎氏に、満足し堪能しました。
2002.03.20-046 野ざらし忍法帖(山田風太郎、講談社文庫)
山田風太郎氏は、内臓的でドライ、荒唐無稽な作家です。解説のなかで、医者の友人の言葉が紹介されている。「外科医が集って飲むとどんちゃん騒ぎになることが多くて、下手をすると収拾がつかなくなる。内科医の酒の席は大人しくて盛り上がりにかけるんだ」。外科医的な山田風太郎氏の異色短編が9編。
2002.03.17-045 春秋山伏記(藤沢周平、新潮文庫)
尊敬と畏怖の対象で村びとの相談役でもある、山伏の活躍を描いた連作。村びとたちの関わりや生活が、いとしさをもって描かれている。
2002.03.15-044 読むクスリ31(上前淳一郎、文春文庫)
疲れているときに、ふさわしい本です。人間の明るくていい部分にふれて、元気になります。生きていく知恵と工夫がいっぱい。
2002.03.12-043 竹光始末(藤沢周平、新潮文庫)
短編が6編。解説で、藤沢周平氏の「時代小説の可能性」が紹介されている。「時代や状況を超えて、人間が人間であるかぎり不変なものが存在する。この不変なものを、時代小説で慣用的にいう人情という言葉で呼んでもいい。ただし人情といっても、善人同士のエール交換みたいな、べたべたしたものを想像されるにはおよばなし。人情紙のごとしと言われた不人情、人生の酷薄な一面ものこらず内にたくしこんだ、普遍的な人間感情の在りようだといえば、人情というものが、今日的状況の中にもちゃんと息づいていることに気づかれると思う。…」。
2002.03.10-042 龍を見た男(藤沢周平、新潮文庫)
短編が9編。余韻たっぷりの幕切れが、それぞれがさわやかで藤沢周平氏らしい。
2002.03.07-041 天保悪党伝(藤沢周平、新潮文庫)
知恵と度胸で頑張る(?)個性的で素敵な六人の悪たちの物語。小気味よい展開に満足。
2002.03.04-040 素直な戦士たち(城山三郎、新潮文庫)
英才教育のために多くの教育書をたよりに、計画的に結婚・妊娠し、自分達の生活を犠牲にして子育てに励む夫婦の悲喜劇。学歴社会が生む病いと混乱、英才教育書の欺瞞が明らかに。いつも時代も子どもたちが被害者になる。優柔不断に悩む父親と息子の交流がせめてもの救い。
2002.03.02-039 毎日が日曜日(城山三郎、新潮文庫)
2002.02.28-038 喜多川歌麿女絵草紙(藤沢周平、文春文庫)「毎日が日曜日」であると言われる、京都支社へ左遷された主人公と彼の元上司である定年退職者。非情な総合商社をめぐるさまざまな事件を通じて、仕事や家庭、人生について問いかける。帰国子女の問題も深くて重い。
生涯美人絵を描き好色漢と言われた喜多川歌麿は、女性を見続けた。変化する女性の心が、彼のテーマであり謎である。インテリで魅力的な主人公です。
2002.02.28-037 ブロードバンドを使いこなす(石田晴久、岩波アクティブ新書)
2002.02.27-036 Eポリティックス(横江公美、文春新書)ブロードバンドの理論と概論の、いわゆる入門書で、得るところはなかった。
2000年のアメリカ大統領選は、インターネットを使った選挙戦でもあった。インターネットの普及により、「政治」のかたちが変わりつつある。Eポリティックス・ビジネスや電子政府の現況と可能性をリポート。何年か先には、日本にもEポリティックスの時代に。
2002.02.27-035 隠し剣秋風抄(藤沢周平、文春文庫)
孤独で個性的な剣客を描いた9編の連作。練る前に読むのに最適な1册。9編それぞれが、味わい深い。
2002.02.24-034 孤剣 用心棒日月抄(藤沢周平、新潮文庫)
切れ味のよい文体とテンポのよさに満足。江戸庶民のたくましさとやさしさ、武家社会のうさん臭さと非情が、浪人である主人公の颯爽とした行動から見えてくる。
2002.02.21-033 雲ながれゆく(池波正太郎、文春文庫)
可愛らしさとたくましさを備えた女性が主人公。“男”をうまく書く作家は、“女”を書くのもうまい。ラストシーンのさわやかさは、さすがの池波正太郎氏です。
2002.02.19-032 愛の装飾(黒岩重吾、角川文庫)
「黒岩重吾の好きな言葉に、ロートレックのつぎの一句がある。『ぼくの友だちにさんさんと輝く太陽を描く画家がいる。その名前はヴァン・ゴッホ。しかし彼には娼婦は描けない』」と解説にある。主人公の女性が企業や男性関係のオモテとウラの部分を知り成長していく。
2002.02.18-031 炎は若い(黒岩重吾、文春文庫)
“企業もの”と“恋愛もの”に“ミステリーもの”が適度に絡み合って展開する。一流企業のエリートが、出世と恋愛で悩み変貌していく、大人の愛の話。「週間女性」に連載されたもので、なるほど。
2002.02.16-030 日本の近代思想(鹿野政直、岩波新書)
2002.02.13-029 異人館周辺(陳舜臣、文春文庫)サブタイトルは、「日本の近代が重ねてきた思想の経験と情景」。民主主義、戦争と平和、沖縄・在日、女性の問い、暮らしの思想、社会主義という経験などを切り口に、20世紀の日本の思想とその背景、人びとを丹念にスケッチ。
作者が生まれ育った神戸のエキゾチックでロマンチックなミステリーが9編。神戸への愛情が文章の端々に。
2002.02.12-028 柊の館(陳舜臣、講談社文庫)
国際色あふれる“柊の館”を舞台におこる殺人事件の連作推理もの。戦争の悲劇が背景にあるなど、構成が巧み。
2002.02.10-027 あばれ狼(池波正太郎、新潮文庫)
“股旅もの”が4編と“真田もの”が3編。人間の死にざまと生きざまが濃密に描かれている。死ぬために生き、生きるために死んでいく人たち。
2002.02.08-026 真田騒動(池波正太郎、新潮文庫)
“真田もの”が5編。家族・家の問題が、関ヶ原の戦いや徳川幕府の対藩政策のなかで浮きぼりにされてくる。高槻の古本屋さんで「真田太平記1〜12」を見かけたのですが、先日行ったときにはすでに売れてしまってました。早く見つけないと。
2002.02.07-025 蝉しぐれ(藤沢周平、文春文庫)
大満足の1編です。小説の素晴らしさと醍醐味を堪能。解説で秋山駿氏が、「淡彩なのに、明度が高いので、すべての物や事の細部がくっきりしている。」「これは見事な発端だった。…第一は、悠然たる、静かな展開の調子。これは長編には必須のものだ。そして私は、これに、西欧的近代文学の正統の嫡子といった感じを受ける」と語る。うまい。
2002.02.05-024 凶刃 用心棒日月抄(藤沢周平、新潮文庫)
用心棒シリーズの第4弾では、「刺客」以後16年が経過し、主人公も40半ばの年齢に。仕事仲間としての友情と男女の愛情のかたちが、理想的でうらやましい。組織人としての武士、自由人としての用心棒のどちらも魅力的。
2002.02.03-023 刺客 用心棒日月抄(藤沢周平、新潮文庫)
用心棒シリーズの第3弾。タテ糸とヨコ糸が絡み合ったストーリ−が巧みで場所と時間の転換がスピーディー。読書の楽しみと喜びを実感。藤沢周平氏を勧めてくれた友人に感謝。
2002.02.01-022 用心棒日月抄(藤沢周平、新潮文庫)
この1册で藤沢周平氏のファンになりました。赤穂事件の進行や主人公と赤穂浪士との関わりを深めながら展開する短編の連作。練られた緻密な構成はさすが。
2002.02.01-021 狂牛病(中村靖彦、岩波新書)
狂牛病がどのようにして発生し、どのように広まったかを現地取材。日本での現状や対策、問題点も詳しい。「人類への警鐘」とサブタイトルにあるように、食べ物を製品のように取り扱ってきた反動が、いま現われている。「イタリアで言われ始めて、少しずつ世界に広がった、画一的でない、それぞれの地域食材を大切にして、手作りの食文化を楽しもうとの発想」である、「スローフード」という言葉が新鮮で重い。
2002.01.31-020 冤罪(藤沢周平、新潮文庫)
友人のすすめで藤沢周平に向かう。「小説を書くということはこういう人間の根底にあるものに問いかけ、人間とはこういうものかと、仮の答を出す作業であろう。」という藤沢周平氏の言葉が解説で紹介されている。自然体で生きる人たちのさわやかさとすがすがしさがある。クセになりそうです。短編が9編。
2002.01.30-019 打出小槌町一番地(城山三郎、新潮文庫)
富と社会的地位を獲得した人たちが住む、打出小槌町での出来事を描いた連作中編。成功の表とウラ、光と影の部分が立体的に描写。昭和56年に発行された本が、20数年経て手許に。本にも人生がある。
2002.01.29-018 男たちの好日(城山三郎、新潮文庫)
国家と企業の関わり、企業と経済の関係、個人対国家などを鋭く問う城山三郎氏ならではの作品。「企業利益の追求という概念を上回るような上位概念がなくなってしまった」という解説に納得。国家に裏切られた経済人への鎮魂歌。
2002.01.28-017 抜討ち半九郎(池波正太郎、講談社文庫)
人生のきびしさやさみしさが、しみじみと伝わってくる短編が7編。「後姿」のはかなさを連想させる。
2002.01.26-016 殺しの掟(池波正太郎、講談社文庫)
やっぱり池波正太郎はすごい。味わい深い言葉を巧みに使い、やさしく読みやすい文章はさすが。音羽の半右衛門や羽沢の嘉兵衛、聖天の吉五郎などおなじみの殺しの元締が、登場し活躍する短編など9編。元締が登場するだけで、ワクワクしうれしくなる。
2002.01.25-015 黄金の日日(城山三郎、新潮文庫)
織田・豊臣・徳川に期待し、裏切られていく自由経済圏の堺衆たち。堺衆たちの自由で進取な発想や文化が、時の権力者に破壊されていく。経済活動や経済から、権力を持つことによる人間のずるさや政治に醜さが見えてくる。すぐれた歴史小説です。
2002.01.22-014 逃亡者(城山三郎、新潮文庫)
狭い世界を描いた短編が8編。展開力を欠き、印象がうすい。短編は得意ではないようだ。
2002.01.20-013 と金紳士 王手飛車の巻(梶山季之、角川文庫)
下半身を武器に東京を舞台に大活躍。駄洒落の多い文章で笑いながら一気に読了。
2002.01.19-012 と金紳士 海外雄飛の巻(梶山季之、角川文庫)
たまには、こういう軽妙で痛快な小説もいいです。香港・タイ・シンガポール・アメリカを飛び回り、大活躍。下半身の一部分や行為からネーミングされた人物が多く登場。
2002.01.18-011 男たちの経営(城山三郎、角川文庫)
花王石鹸の創立と発展の歴史。その歴史の光と影の部分で、戦い傷ついた男たちの物語。戦争の影響が重くのしかかっている。
2002.01.16-010 華麗なる疾走(城山三郎、集英社文庫)
呼び屋という虚業に生きる男の虚しさ、虚しいからこそ情熱を燃やせるのだが。「夢を追う人間の魅力と同時に、夢の内容をあらためて考えさせてくれる。それは、ある意味で、現代の日本の企業全体の姿さえ思い浮かばせる」と尾崎秀樹氏が解説で。
2002.01.15-009 甘い餌(城山三郎、文春文庫)
短編が7本。したたかで存在感のある主人公が各短編に登場。池田勇人首相から自邸に呼びつけられ、原稿の訂正をせまられたが、首相の要請をはねつけたエピソードが、解説で紹介されている。痛快。
2002.01.14-008 風雲に乗る(城山三郎、角川文庫)
2002.01.13-007 外食王の飢え(城山三郎、講談社文庫)大企業からの圧力など、起業家の悔しさや苦しみが伝わってくる。ストーリーの展開が平板。
外食産業に生きる男の長くて終りのない戦いを、対照的な二人の経営者を通して描いている。チェーン店展開の厳しさと激しさに追われつづけ、生き急ぐ孤独な男たち。
2002.01.11-006 百戦百勝(城山三郎、角川文庫)
痛快で愛すべき主人公は、大きな耳を生かしてさまざまな情報を集め事業に成功していく。知恵と勇気と決断力がある。
2002.01.09-005 うまい話あり(城山三郎、角川文庫)
「うまい話」に乗った脱サラの主人公は、その裏側にある厳しさや残酷さを体験する。ガソリンスタンド業界の仕組みや裏面、アメリカ式経営方法の問題点を前に、主人公とともに歯ぎしりする。
2002.01.08-004 酔って候(司馬遼太郎、文春文庫)
幕末の混乱期に“賢侯”と言われた、土佐の山内容堂、薩摩の島津久光、伊予宇和島の伊達宗城、肥前の鍋島閑叟を描いた4編。幕末の大揺れのなかで、世間からも幕府からも勤王派からも期待されただけに、悲劇と喜劇の間を最も大きく揺れ動いた4人の藩主。
2002.01.07-003 日日平安(山本周五郎、新潮文庫)
耐えることの尊さや美しさ、耐えなければならないつらさや哀しみが、伝わってくる“山本周五郎ワールド”です。「水戸梅譜」「しじみ河岸」「ほたる放生」「橋の下」がいい。短編が11編。
2002.01.04-002 危険な椅子(城山三郎、角川文庫)
サラリーマンにとって重いテーマの小説です。組織と個人の問題に派閥争いが複雑に絡んで、真面目で不器用な課長は罠にはまっていく。ハッピーすぎる結末と課長夫人との恋愛にリアリティを欠く。
2002.01.02-001 幕末新選組(池波正太郎、文春文庫)
このページの先頭へ江戸っ子である永倉新八のさわやかな生き方に江戸の文化が見えてくる。新選組にも薩摩や長州などの倒幕藩、徳川幕府にも文化が見えてこない。