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合併絡み信頼にヒビ? 消防・斎場、単独事業に 4事業廃止も…桐生市/群馬
◇市外4事業廃止も提案
桐生市は8日、同市と桐生広域6町村で運営している消防や斎場の2基幹広域圏事業を同市単独事業に戻し、国民宿舎など市外4事業を廃止するなどの案を市議会に示した。今年度中の実施を目指し、8月の広域圏事業組合議会に提案、各市町村には9月議会での議決を求める考え。市は提示理由を「広域事業の推進は、関係市町村の信頼と協力が前提。飛び地合併を強いる3極化が進むなど、信頼関係は損なわれた」と説明、藪塚本町が太田圏入りを決め、笠懸町や大間々町などが桐生市グループを分断する形の合併協議を続けていることが原因とみられる。
同広域総事業費は約70億円と、県内10広域圏内で最大規模で、前橋圏や高崎圏などの1.3倍に達する。今回の合併協議では町村側の思惑などが絡み、広域行政枠から抜ける町村が増えている。桐生市の動きは、他の合併協議にも影響を与えるとみられる。
広域消防で、桐生市は本部と市内分署などの経費すべてを負担、全体の7割になる。他町村は所在する分署の費用のみを負担している。広域圏事務局の職員数も同市が124人、他町村が計17人と、市が極端な加重負担をしている。藤橋俊典企画部長は「税収減が続く中で、人や物、経費的にこうした負担は続けられない」と答弁した。
さらに同広域事業で運営している「清掃センター」(新里村)や市単独事業の「し尿処理場」(桐生市)などのいわゆる「迷惑施設」の委託料についても大幅な見直しを示唆した。
大沢善隆市長は答弁で「話し合いの結果によっては(事業)受け入れの拒否もありうる」と、強硬な姿勢を強調した。共産党会派を除く議員からは「過激な表現は避けても、方針そのものは支持する」との意見が大半だった。【塚本英夫】(毎日新聞)
[2004年6月9日19時11分更新]
広島市との合併を最大の争点にした府中町長選で、合併に慎重な立場をとる現職の和多利義之氏が、早期合併を主張する新人の上原貢氏を破り再選された。民意は早期合併を否定したといえるが、和多利氏は「合併の是非を明確にする」ための住民投票の実施を公約に掲げており、今後はその実施時期や内容が注目される。合併特例法の期限切れを10カ月後に控え、各地で「民意」と「行政」「議会」が絡んださまざまな混乱が生じている。
選挙戦で和多利氏は「財政難の広島市と合併を急ぐ必要はない」と主張。一方の上原氏は「生活圏が同じなのだから合併は当然。今が最後のチャンス」と訴えた。投票率56.36%で得票は6対4の割合だった。
広島市との合併をめぐって府中町は2002年6月、住民投票を実施している。「合併」が49.9%、「単独市制」が28.5%、「町制維持」が21.6%だった。03年6月には住民の直接請求をきっかけに町議会が法定合併協議会(法定協)の設置を決めたが、委員の選出をめぐって市との協議が難航。今年2月の初会合でも協議の進め方などで意見が対立し、具体的な協議は行われないまま、次の会合のめども立っていない。
広島市の財政難が明らかになる一方で、この春オープンした複合商業施設ソレイユは来年度、町に約3億5千万円の税収増をもたらしそうだという。マツダの復調も心強い。和多利氏が勝ったのは、そんな動きも有利に働いたのだろう。
政府主導の色が濃い「平成の大合併」。財政上の優遇措置が切れる来年3月が近づくにつれて、民意と議会、執行部の思惑の違いが抜き差しならないあつれきとなって噴出している。
府中町の東隣にある海田町は、やはり広島市との合併をめぐって昨秋から揺れている。今年4月の合併を目指して市と協定を結んだ直後に、議会が合併関連議案を否決。町長は辞職し、新しく選ばれた町長は今春の合併を見送った。この8月には合併の是非を問う住民投票が、特例法の期限切れをにらんだぎりぎりのタイミングで行われる。
二度の住民投票が行われ、いずれも鳥取市との「合併」が多数を占めた鳥取県智頭町では、町が市との合併協定調印を済ませた翌々日の5月17日、町議会が合併関連議案を否決した。議案はすぐ再提案されたが、議会が再び否決したため、県東部10市町村の大型合併は暗礁
に乗り上げている。
また山口県では、柳井地域(1市3町)、萩地域(1市7町村)、県央部(2市4町)の広域合併の枠組みが3月から4月にかけて相次いで破たんし、協議は混迷の度を深めている。
これらの動きに共通しているのは、なぜそんな事態に陥ったのか、破たんの理由がはっきりしないことである。民意が数字で示される住民投票でさえ、どれだけ情報が開示され、どこまで議論が尽くされて、住民がどれほど腹を据えて投票したかで、結果の重みは違ってくる。
時限立法の期限は迫っているが、自治体の新しいかたちをつくる合併の是非と真剣に向き合ってほしい。
(中国新聞) [2004年6月1日]
1. 合併特例区
合併後の一定期間(5年以下)、1又は2以上の合併関係市町村の区域であった区域を単位
として、特別地方公共団体である合併特例区(法人格を有する。)を設けることができる。
(1) 設置手続 合併関係市町村の協議で規約を定め、廃置分合の申請に併せ、設置を申請する。
(2) 合併特例区は、以下の事務のうち、規約で定めるものを処理する。
1) 合併関係市町村において処理されていた事務であって一定期間合併特例区で処理することがその事務の効果
的な処理に資するもの。
2) その他合併特例区が処理することが特に必要な事務
【例示】地域の公の施設の管理(集会所、コミュニティセンター等)、地域振興イベント、コミュニティバスの運行、地域に根ざした財産の管理(里山、ブナ林等)
(3) 合併特例区の長は、合併市町村の長が選任する特別職とする。また、合併市町村の助役又は支所・出張所長を兼ねることができる。
(4) 合併特例区協議会
1)構成員は、合併特例区内に住所を有する合併市町村の議会議員の被選挙権を有する者のうちから、規約に定める方法により合併市町村の長が選任。
2) 権限ア)予算等の重要事項を定めるときは、合併特例区協議会の同意が必要。イ)規約で定める合併特例区の区域に係る重要事項を実施しようとする場合は、合併特例区協議会の意見を聴かなければならない。ウ)合併特例区協議会は、地域振興等合併特例区の区域に係る事務に関し、合併市町村の長その他の機関に意見を述べることができる。
(5) 合併特例区は、住所の表示に合併特例区の名称を冠する。
2. 地域自治区の特例
合併に際して、1又は2以上の合併関係市町村単位で地域自治区を設ける場合には、
1) 合併関係市町村の協議で設置を決定。
2) 特別職の区長を置くことができる(市町村長が選任)。
3) 住所の表示に地域自治区の名称を冠する。
3. 特例措置等
1) 市町村建設計画は合併市町村基本計画と名称を変更し、所要の規定の整備を行う。
2) 合併特例債は廃止する。
3) 合併算定替については、現行法の合算特例期間10年を段階的に5年に短縮し、激変緩和期間は現行法と同様に5年とする。
4) 人口3万人以上を有すれば、地方自治法の規定にかかわらず市となることができる特例は廃止する。
5) 下記の特例措置は、現行の市町村の合併の特例に関する法律(以下「現行法」という。)と同内容。
ア.市が新設合併後も市であること
イ.議会の議員の定数及び在任並びに退職年金に関する特例
ウ.農業委員会の委員の任期に関する特例
エ.職員の身分取扱い
オ.一部事務組合等に関する特例(現行法改正による合併に伴う一部事務組合に関する手続きの簡素化を図る特例の拡充と同内容の特例を加えたもの
カ.地方税の不均一課税
キ.合併補正、地方債の配慮
ク.流域下水道に関する特例
ケ.都道府県の議会の議員の選挙区に関する特例
コ.地域審議会
4. 市町村の合併の推進に関する構想等
(1) 総務大臣は、自主的な市町村の合併を推進するための基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めるものとする。
(2) 都道府県は、基本指針に基づき、自主的な市町村の合併を推進する必要があると認められる市町村(以下「構想対象市町村」という。)を対象として、自主的な市町村の合併の推進に関する構想(以下「構想」という。)を定めるものとする。構想においては、市町村の現況及び将来の見通
し、構想対象市町村の組合せ等を定めることとする。
(3) 構想を定めるにあたって、あらかじめ、都道府県に置く市町村合併推進審議会の意見を聴く。市町村合併推進審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、都道府県の条例で定める。
(4) 都道府県知事が、構想対象市町村に対し、地方自治法に基づき合併協議会を設けるべきことを勧告したときは、勧告を受けた市町村の長は合併協議会設置協議について議会に付議し、議会が否決した場合等においては、住民が有権者の6分の1以上の連署により又は市町村の長が住民投票の請求を行うことができる。住民投票により有効投票の過半数の賛成があった場合には、議会が可決したものとみなす。
(5) 合併協議会において、合併市町村の名称等により協議が調わないときに、合併協議会の委員の過半数の同意を得た申請に基づき、都道府県知事は市町村合併調整委員を任命し、あっせん又は調停を行わせることができる。
(6) 都道府県知事は、構想対象市町村に対し、合併協議会における市町村の合併に関する協議の推進に関し必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。都道府県知事は勧告を受けた市町村に対し、勧告に基づいて講じた措置について報告を求めることができる。
5. 補則・罰則
国及び都道府県は、合併市町村の円滑な運営の確保及び均衡ある発展に資するため必要な措置を講ずるよう努めなければならない等所要の規定を置く。
6. 施行期日
この法律は平成17年4月1日から施行し、平成22年3月31日限りその効力を失う(5年間の限時法)。ただし、平成17年3月31日までに都道府県知事に合併の申請を行い、平成18年3月31日までに行われる市町村の合併については、現行法が適用される。
門真市の市民団体「門真の未来とまちづくりを考える市民の会」は28日、守口市との合併の是非を問う住民投票条例制定の直接請求に向けて、1万2362人分の署名簿を門真市選管に提出した。直接請求には有権者の50分の1(2173人)以上の有効署名が必要だが、選管の審査で必要数を超えることは確実。守口市議会に続き、直接請求後、門真市議会でも住民投票条例案が市議会に提案される見通
しとなった。
未来の会は4月24日から1カ月間、1万5000人分を目標に署名運動を展開。「市民から託された署名が住民投票の実現につながるよう、市長が賛成の意見を付けて、(市議会で)全会一致で条例案が可決されることを期待します」とのコメントを発表した。
またこの日、守口市では臨時市議会が開会。喜多洋三市長は「条例案の整理が必要」との意見書をつけて直接請求された住民投票条例案を提案した。
守口市・門真市合併協議会は、合併に関する住民の意向把握について、各市に委ねる方針を決めており、両市で住民投票が同時期に実施される可能性もある。【森本宗明】(毎日新聞)
[2004年5月29日20時2分更新]
◇出直し選に期待と不安
「覚悟はしていたが、市民の怒りがこれほどとは……」
周南市議会の議員報酬高額一本化を巡り、議会解散の是非を問う住民投票。16日夜、結果が判明すると、自宅にいた岸村敬士議員(56)は、予想以上の票差にがく然とした。
解散に賛成5万2120票、反対5504票。賛成票は有効投票の9割を占め、圧倒的多数で議会解散が決まった。
市民が高額報酬に猛反発し、議会に「憤怒」と「不信」の感情をぶつけたのだ。
大勢は、午後9時半の開票開始から約30分後に判明。議員に衝撃が走った。
梶山正一議長(68)は午後10時半過ぎ、議長室で会見した。「志半ばで残念……」。合併後2年間の在任特例期間中の解散劇に無念さをにじませ、議員引退を表明した。
一夜明けて17日の議会事務局。荷物整理に訪れた久保忠雄議員(68)は、出席表示板から全議員64人の名札が外されているのを見て、解散を実感した。
久保議員は旧熊毛町議で、住民投票による議会解散の経験は2度目になる。02年10月、周南合併の是非を問う住民投票は町を二分した戦いになり、住民にしこりを残した。「住民投票のたびに、町が分断される。合併は時期尚早だった……」と後悔する。
一方、あるベテラン議員は「もともとあった政治不信が報酬問題で一気に噴出した」と分析。その上で「市民の政治意識が高まり、議会と良い緊張関係が保てれば政治も良くなるのでは」と期待する。
旧徳山、新南陽市と比べ、人口の少ない旧熊毛、鹿野町では、出直し市議選(6月13日告示、同20日投開票)への出馬を断念する議員も出ている。これまでの町議選と、これからの市議選では当選ラインが大幅に違うからだ。
鹿野町出身の議員はあきらめ顔で言う。「市中心部では知名度が低く、当選に届くだけの票を集めることは無理」
周辺部の住民に不安が広がる。
解散に反対した市北部の60代男性は「地元の事情に詳しい議員は必要。地域の要望を誰が市政に伝えるのか。取り残されないといいが……」。
「平成の大合併」では、県内初のケースとして誕生した周南市。しかし、議会は新市の町づくり計画をほとんど論議しないまま、合併から1年余で解散した。「衝撃」の余波を探る。【鈴木美穂】(毎日新聞)
[2004年5月20日20時35分更新]
◇報酬問題巡る混乱、全国の合併協議に波紋
周南市議会の解散から2日後の18日。埼玉県熊谷市の市議11人が合併先進地・周南市を視察に訪れた。
江森茂美市議(61)は議会解散の経緯について周南市側から説明を受け、耳を疑った。
「(合併後2年間は全議員が在籍できる)在任特例をいっぱいに使い、さらに、議員報酬の増額も求めるとは……。議員の資質を問われても仕方がない。これでは、市民が怒るのも当然」
「合併前の協議不足は否めない」と、他の市議からも驚きの声が上がった。
熊谷市は昨年4月、周辺3町と合併協議をスタートさせたが、今年3月に1町が離脱。残る2町と仕切り直しをする。在任特例や定数特例の取り扱いについて協議に入るのはこれからだ。
熊谷市の合併でも周南市と同様に最大2.4倍の議員報酬格差がある。江森市議は視察を終え、「市民が納得する協議にしないといけない」と肝に銘じた。
昨年度、合併の視察のため周南市を訪れたのは、北海道から沖縄まで32道県の84団体に上る。20日も新潟県三条市の市議4人が訪れた。
「合併先進地としての役割を果たしている」(河村和登市長)周南市だが、報酬問題を巡る混乱は、県内外の合併協議に波紋を広げた。
岩国市と玖珂郡6町村でつくる「岩国地域合併協議会(法定協)」もそうだ。法定協発足(03年4月)前の任意協では、新市の議員は在任特例を適用することで基本合意していた。
しかし、今年2月、民間の法定協委員が「在任特例を採用すれば周南市のような解散運動が起こりかねない」と反発。104人の巨大議会誕生に「待った」をかけた。
「議会も痛みを分かち合うべきだ」と、民間委員は定数特例(新市の法定数34の2倍以内)の採用を訴えた。片や、町村部の議員は「町村議員が減れば、協議会の約束をほごにされかねない」と在任特例を主張し、協議はこう着状態となった。
結局、21日の投票で在任特例か定数特例かのいずれかを選ぶ。
ある市議は「(在任特例を認めた時点で)現市議会が解散請求の対象となる」と警戒する。
出直し市議選(定数34)後の議員報酬について、河村市長は市特別職報酬等審議会に再諮問する方針だ。
石川勝径・徳山大教授(企業論)は「全国の例にならうのでなく、財政状況に応じた報酬にすべきだ。再び高額な報酬を提案すれば、今度は市長の解職請求(リコール)に発展する可能性もある」と指摘する。【鈴木美穂、大山典男】(毎日新聞)
[2004年5月21日20時32分更新]
◇必死に復帰目指す、失職市議
「議会で高額報酬を求めただけに、今さら弁解できない。もう議会に帰れないのではないか……」
出直し市議選(6月13日告示、同20日投開票)に立候補を予定する旧熊毛町議の表情はさえない。
住民投票で市民は高額報酬に「NO」の答えを突きつけた。出直し選挙で報酬問題が争点になるのは必至で、復帰を目指す失職市議の弁明に市民は注目している。
ある旧徳山市議は「議会は悪くない。でも、選挙戦では、下手なことを言えない。報酬問題には触れないようにしたい」と、問題を避けて通
る戦法だ。
また、3月議会で自主解散決議案の否決を受けて辞職した旧徳山市議は「報酬審の答申に近づけるため、議会内の調整にも尽力した。一貫した行動をとったことを訴えていく。それが一つのセールスポイントになる」と強気の姿勢。
一方、すでに“おわび行脚”を始めた立候補予定者もいる。
ある旧徳山市議は「支持者の中には、議会解散に賛成した人も多い。あいさつ回りで、民意と懸け離れた高額報酬に賛同したことを謝罪している」と苦笑する。
このほか、ある旧新南陽市議は「議会は解散して、市民の審判を受けた。市議選では、混乱の発端となる決断をした市長の責任を追及する」と強弁する。
市民グループ「周南のよあけを導く会」の解散請求後、多くの現職や新人らは「解散は間違いない」とみて、出直し選挙へ走り出した。
JR徳山駅近くで青果店を営む新人の男性(40)は4月上旬、事務所を構えた。「報酬問題について言う立場にない」として、中心市街地の活性化を最重要課題として訴える方針だ。
出直し市議選は定数34に、50人以上の出馬が予想される。
市内の印刷会社には議会解散後、選挙ポスター印刷の注文が舞い込んだ。ファクスや机など事務機器のレンタル業者も、立候補予定者への営業活動を始めている。
市選管は25日午前9時半から市徳山保健センターである立候補予定者の説明会に向け、必要な資料をまとめる作業を急ピッチで進める。
“ドタバタ劇”になりそうな問題も浮上して来た。
参院選の日程は6月24日公示、7月11日投開票が有力視される。そうなると、公選法によって、出直し市議選のポスター掲示板の撤去の期限日(6月23日)に、参院選のポスター掲示板を設置しなければならない地域も出てくる。
田中徹・市選管次長は「慌ただしいが、準備に万全を期したい」と気を引き締めている。【鈴木美穂】(毎日新聞)
[2004年5月22日20時33分更新]
市町村合併での都道府県知事の役割強化を定めた合併新法など合併関係3法が19日、参院本会議で賛成多数で可決、成立する。3法は、合併新法のほか、改正地方自治法と改正合併特例法。
合併新法は2005年4月から5年間の時限立法。知事が、合併市町村の組み合わせなどを示した構想を策定し、合併協議会の設置を勧告できると定めた。円滑な合併を目指し、合併市町村が最長5年間、旧市町村単位
で法人格を持つ「合併特例区」を設置できる規定も設けた。また、人口3万人以上で市になれる特例措置を、現行特例法に引き続いて盛り込んだ。 (時事通
信) [2004年5月19日7時1分更新]
◇小さな意識変化の芽生え…「町のため」自立へ挑戦続く
矢祭町に最近引っ越してきた40代の男性は、少し戸惑っていることがある。「町長のパワーはすごい。ただ、間違った選択をした時はどうするのか。追随しているだけの人たちが多すぎる気がする……」
昨春、根本良一町長が辞任を発表した時、町長室に町民が押しかけ「辞めないで」と嘆願する騒ぎになった。約65平方メートルの町長室は30人以上の支持者ですし詰め。泣き出してしまう女性も出た。期待の大きさの表れだが、町長一人に頼っている証しでもある。町議会の傍聴席には、議事そっちのけで根本町長の行動だけを追ってカメラのフラッシュをたく人が多い。芸能人の追っかけのような雰囲気だ。
根本町長は「次の選挙は出ない」と明言している。矢祭町は3年後の06年以降、カリスマ的な人望を誇る根本町長なしでやっていくことを迫られる。その成否は「合併しない宣言」から2年半たった今、町民に芽生えた小さな意識の変化がカギを握っている。
「町の財政が大変だと聞いて始めました」。どこにでもいそうな普通の女性たちが、「町のため」とさらりと話した。ツツジの名所として知られる矢祭山が観光客でにぎわったゴールデンウイーク中、町内に住む60代の主婦ら5人が、これまでほとんど利用してこなかったふもとにある町の高齢者活動施設に「華の茶店」を出した。町は無料で場所を提供。出た利益の3万2000円のうち2万円は、行革で今年度から補助金が20万円減らされ160万円になった町観光協会に寄付し、残りは今秋の活動資金に繰り越した。
リーダーは洋服仕立業の金子博子さん(68)で、5人ともオレンジのエプロンで統一した。メニューはうどん(300円)や甘酒(100円)など全部で5種類だけ。金子さんたちが打つ昔なつかしい太いめんと安さが受けて、1〜5日の5日間の営業で500人以上が利用し、近くの売店主から「営業妨害だ」とクレームも受けるほどだった。「売店と同じものは売っていない。矢祭山の観光案内もして、他の売店のためにもなったと思う」と金子さん。
「合併しない宣言」以降、町が一番変わったのは、「今まで町のことなど関心のなかった人たちが町のことに興味を持ち出したこと」と金子さんは話す。町議会の傍聴席はいつも埋まるようになり、今年度から傍聴席を改修して広さを2倍にしたが、まだ足りないくらいだ。
町の自立のために何かできることはないか。そう思って行動を始めたのは金子さんたちだけではない。行革の一環で嘱託職員が大幅削減された役場の力になろうと、引退した役場職員が「ボランティア隊」(仮称)を結成しようと準備を進めている。13年までには役場職員は約30人減って50人台になる。ボランティア隊はその減員分を埋めるマンパワーになりそうだ。現在、どのくらいの人数が実際に活動できそうかを詰めている。
矢祭町の生き残りにつながるような町民の自主的な取り組みは、金子さんたちの茶店や、引退した役場職員OBの組織化などボランティア的な動きで、まだごく一握りにとどまる。それでも、「合併しない」と町が宣言したことの重みに気づいて行動に移した人たちが現れたことは大きく、明日の矢祭町を担う大きな流れにつながる可能性を秘めている。
人口7000人の小さな町が合併せずに生きていくため、町民自身は何ができ、何をすべきなのか。全国の自治体がそのヒントを矢祭町に求めようとする中で、合併しない町の挑戦は続く。=おわり(この連載は坂本昌信が担当しました)(毎日新聞)
[2004年5月15日19時2分更新]
◇反骨精神支えに理想追う
従業員2000人規模の新工場進出で矢祭町と空圧機器大手のSMC(本社・東京都港区)が協定に調印した昨年暮れ以降、全国各地から訪れる視察団の根本良一町長に対する見方が変わってきた。これまでは「理想を貫き通す求道者」のイメージが強かったが、「民間出身の感覚で町運営しているところがすごい」というものになった。
根本町長の「合併しない宣言」の裏には、したたかな根本町長なりの計算があった。「合併しないと一度言った以上、町は後ろ向きのことばかりではやっていけない」。当時、SMC側と新工場の進出交渉が水面下で進んでおり、根本町長は財源確保など町の自立にSMCが不可欠と説得するカードを交渉中に得た。新工場が実現しなければSMC側が町を見放すかたちになるため、「手を引きづらくなる」と読んだのだ。
根本町長が町長に担がれたのは、先見性など社長としての経営手腕を町民に期待されたからだった。高校卒業後に小さな家具屋を継いだ。茨城県大子(だいご)町の倒産したボウリング場を買い取り、安く大量に売る展示即売方式を取り入れた。周辺には当時、同様の店はなく家具が飛ぶように売れた。会社は堅実な経営を続けており、根本町長は今もこの会社の社長を務めている。
町の温泉宿泊施設「ユーパル矢祭」などを運営する矢祭振興公社の星護(まもる)支配人(63)も、根本町政に民間出身の経営感覚が反映されていると考える。「侍に商売はできない」と公社に役場出身者を一人も入れないのは根本町長の方針だ。星支配人が役場のやり方に首をひねる時、相談できるのはやはり根本町長だ。どこか話が早い。
星さんは、町とゴルフ場の進出交渉をしていた大阪府の大手ゴルフ場経営会社の役員から引き抜かれた。しつこい誘いに「星はこんな田舎町の温泉宿の支配人などにやれない」と上司が言ったが、根本町長は粘った。この会社は会社更生法を申請し役員が退陣したため、嘱託だった星さんをくどいて念願を果たした。
根本町政を考える上でもう一つ欠かせないことは、反骨精神だろう。学法石川高校時代に根本町長と同じ下宿部屋で2年間過ごした同級生の岡部貞徳さん(66)は、「東大に入って『中央』で働きたい」という高校生だった根本町長の口癖を思い出す。矢祭町はここ数年、「合併しない宣言」や住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)からの離脱などを次々と打ち出し、国と対立する小さな町の急先鋒(ぽう)として全国区になった。岡部さんは「大学に行けなかった反骨精神がそうさせるのかもしれない」と見ている。
根本町長は高校3年の初夏に父親を交通事故で亡くし、大学進学を断念した。家具屋の修業の身となった根本町長は岡部さんに「おれは父の死により、こと志と違う方向へ進まねばならないのだが、君は本当に羨(うら)やましい。(中略)今度改めて、英語と数学を徹底的にやり直すつもりだ。夜寸暇を惜しんでやるんだ」。(1956年4月3日付消印)と手紙を送っている。「いつも一番だった彼は大学進学をあきらめきれなかったのでしょう」と岡部さん。
自立の町を牽引(けんいん)する根本町政は、民間出身者としてコスト意識や結果を出す姿勢と、反骨精神とが縦軸と横軸となって相互に交わりあって運営されている。反骨精神をエネルギーに自立という理想を追いながら、その実現のためきちんと手を打っている。その姿は町役場にはない経営感覚と言える。=つづく(毎日新聞)
[2004年5月14日19時4分更新]
◇新工場建設で財源倍増…従業員の住宅確保が課題
町役場から国道349号を南に数キロ行くと、道路の両脇に「矢祭ニュータウン」と「矢祭工業団地」が目に飛び込んでくる。自立を目指す町にとって、ここは生命線だ。
昨年11月、地方制度調査会(首相の諮問機関)の答申が発表され、全国の小さな自治体に衝撃が走った。「人口1万人未満の町村は合併すべきだ」とされていたからだ。矢祭町の人口は約7000人だ。
今年度末に期限切れになる現行の合併特例法に代わり、政府が今年3月に国会に提出した「合併関連3法案」には結局、「1万人」の線引きは盛り込まれなかった。「小規模自治体の切り捨て」と批判を招いたためだった。しかし、「法案成立後に総務省の通達として盛り込まれる可能性は十分ある」と見て町は警戒する。
人口を1万に増やさなくては町として認められなくなる危機感から、矢祭町は「生命線」を大きく強くして、人口1万人を実現しようと努力してきた。矢祭ニュータウンの販売はこれまでのところ順調で、97年に造成し、現在は274区画中226区画が売れた。販売担当者で自立推進課の寺島正一さん(47)は、「ニュータウン内の道路は町道なので道路造成費がかからず、土地販売価格を抑えることができた。土地購入後に家の建設期限がないことも、他にない強み」と説明する。実際、価格は周辺自治体の同様なニュータウンに比べて約1割安い。
しかし、分譲地が残り少なくなって、売れ行きは鈍ってきた。販売努力は試行錯誤の連続で、昨秋は分譲相談会に合わせて千葉市に折りこみチラシ5万2000枚を約30万円かけてまいたが収穫はゼロだった。寺島さんは今後、定年退職の早い自衛隊や海上保安庁などの現役組をターゲットに接触を試みている。
ところが、残りの宅地が完売しても、まだ住宅が足りなくなるほど人口が増える可能性が出てきた。昨年暮れ、空圧機器メーカーで国内最大手のSMC(本社・東京都港区)の新工場建設が明らかになったのだ。同社と町は03年12月17日、従業員2000人規模の新工場を7年後の2011年までに進出させる協定に調印。進出交渉は根本良一町長と高田芳行社長のトップ同士の話し合いで進んでいた。実現すれば県内最大規模の工場が町に誕生する。県内外から集まる従業員と家族の定住化が期待できる。
新工場の進出予定となった山林では既に木の伐採など整地が始まっており、切り株や土砂を運ぶダンプカーがひっきりなしに出入りしている。現在の矢祭工業団地は約2倍の規模に拡大する。
期待できるのは人口増だけではない。町のシミュレーションでは、新工場の進出で固定資産税や法人税など1年で最低5億円の増収が見込まれ、自主財源は倍増する。町を訪れる視察団は、「矢祭に2000人規模新工場」と報じる新聞記事を見せられ、「それで自立が可能なのか」と納得して帰って行くという。
新工場の進出で、人口1万人の“足切り”はどうやらクリアできるという楽観論が役場内には広がっている。ただ、このままでは新工場で働く従業員が住む場所が確保できない。町事業課は残り少なくなった矢祭ニュータウンを「工場の進出に伴って拡大していく」計画を練っているが、山林を切り開いての造成に数年はかかり、間に合うかどうか微妙なところだ。自立を目指す町にとって、立ち止まっている時間はない。=つづく(毎日新聞)
[2004年5月13日19時3分更新]
◇サービス向上で経営安定
矢祭町の財団法人「矢祭振興公社」が運営する温泉宿泊施設「ユーパル矢祭」では今日も従業員たちの明るいあいさつが飛び交う。最近「ユーパル、変わったね」と言われることが増えた。以前にあった公営施設らしいお堅いイメージから一皮むけた。今、「もう一声運動」を展開中だ。普段のあいさつに花便りなどを一言付け加える。
「いらっしゃいませ。矢祭山のツツジが見ごろを迎えましたよ」「あらそう、ぜひ見に行きたいわね」。ゴールデンウイークにはこんな会話が交わされた。自然と従業員の間のあいさつも頻繁になり、活気が出てきたのは予想外だった。
運動の先頭に立つのは同公社の温泉副主任、松永澄江さん(47)ら8人の女性職員で、昨年6月に「サービス向上委員会」を作った。「矢祭には名産品も観光地もない。ならば自分たちが『売り物』になればいいじゃないと」
他にも、客室のメッセージに折り鶴を添えたり、足腰の弱い高齢者のために牛乳パックを再利用して作った腰掛けを設置するなど、ちょっとした心遣いを感じさせるサービスを提供している。
その成果は数字になって表れ、公営企業には珍しく公社は黒字体質だ。町営プール「スインピア矢祭」の経営を受託した97年に1度だけ赤字になったが、それ以外は95年の設立以来、300万〜4100万円の黒字を毎年確保している。96年には3000万円を町の一般会計に寄付した。
町も公社を頼りにしている。97年にはプール、99年には町営のテニスコートの運営を任せた。4月から町の嘱託職員を減らす行革の一環で、学校給食業務と赤字の保養施設「舘山ふるさとランド」の運営も委譲した。
根本良一町長は役場にも公社のような「経営努力」を期待する。サービス向上委員会のメンバーは3月下旬に町長の要請を受け、若手の役場職員の前で「もう一声運動」などの営業努力を説明した。その場で町長は、それぞれを指さしながら「こっち(役場職員側)は頑張らなくてもお金をもらえる人たち。こっち(公社側)は頑張らないと首になっちゃう人たち」と述べて、役場の奮起を促した。
松永温泉副主任は「私たちの頑張りは刺激になっているはず」と胸を張る。合併しない町で公社と役場は車の両輪として協力し合い、切磋琢磨(せっさたくま)しようとしている。
昨年4月、大阪府の大手ゴルフ場経営会社からヘッドハンティングされてきた公社の星護(まもる)支配人(68)は、町のやり方を武士の商法に例え、「侍がちょんまげを切って翌日から前掛けをしてもうまくいくはずがない」と手厳しい。実際、順調にいっている公社には天下りなどによる役場出身者は一人もいない。根本町長の方針だ。
ただ、公社の当初の運営資金2500万円は町から全額出ていて、役場の論理で利用されてしまうこともある。星支配人は就任した早々の昨夏、役場がPRのつもりでばらまいていた無料の入浴券を廃止させた。1人が入浴するごとに150円の入湯税を公社が町に払わなければならないからだ。「もうけなくても損をしないのが原則。役場にも言うべきことは言わないと我々はつぶされる」。民間企業の第一線で活躍してきた星さんは、役場のやり方に時々首をかしげることがある。
「公社の成功は人間的なサービスの徹底がカギ」と星さんは言う。公社のサービス向上と経営基盤の安定は町行政に反映し、役場も活性化するかもしれない。双方の努力が相乗効果となり、町の自立を強固にできるかどうか、公社と町の挑戦は続く。=つづく(毎日新聞)
[2004年5月11日19時4分更新]
◇危機感…職員、町長に直訴
「本当は町長に行革なんてやるつもりはなかったんですよ」。矢祭町の高信由美子・自立推進グループ長(53)はあっけらかんと笑う。「合併しない宣言」をした01年秋以降、全国の自治体から来た視察団に行革案の質問攻めにあった。自立には行財政改革が常識だ。「現状維持で大丈夫」と安心していた根本良一町長は、矢のような質問を浴びて退席してしまう。受け入れ窓口の議会事務局職員だった高信さんは当時、同席しており、後に残って「ハチの巣を突ついたような騒ぎ」を収束させなければならなかった。
外からの指摘を受けて、町が重い腰を上げたのは昨年春。しかし課長会議では、課を1つ減らすだけの行革案しか出て来なかった。課長会議を終えて帰宅した夫の栄一さん(当時、保健福祉課長)にそう聞かされると、その日の夜に町長宅まで押しかけ「こんなことでは乗り切れない」と直訴した。一番危機感を抱いていたのは、視察団の矢面に立たされていた高信さんだった。根負けした町長から「思いの丈を語ってくれ」と指示が出て、4人だけのプロジェクトチームがスタートした。当時は管理職でなかった高信さんもメンバーになった。
行革の焦点は、役場内の縄張り意識やポストの維持を打破し、多すぎる嘱託職員の処遇をどうするかだった。「課長になって最後を飾りたい職員が多い。嘱託職員の首は切れない」。9人に拡大したチームでそう主張する課長たちに対し、高信さんは、互いに仕事を細かく分け合っていた小刻みな課・係制度の弊害を主張し、嘱託職員の仕事を職員の努力で減らせることを訴えた。「バカ呼ばわりされた」と会議を投げ出す課長も出るなど難航。理想と現実のはざまにあった矢祭町の「生みの苦しみ」だった。
ようやく昨年の夏、7課を5課に統廃合して「自立推進課」を新設し、係も廃止してグループ制を導入するなどの行革第1弾がまとまった。デイサービスセンターと給食センターの外部委託で本格的な嘱託職員削減も盛り込んだ。しかし高信さんはまだ不満足だ。
役場の職員人生のうち16年間務めた農業委員会では報告文書の作成に明け暮れ、国や県に提出する文書作成が仕事と思っていた。「女性は職場の華」という雰囲気の中、辞めさせられたら「裁判に出よう」とプロポーズされ、高信さんは職場結婚して辞めない最初の女性職員となった。男社会の役場に反発して組合活動にのめり込み、40代まで「課長になってやる」と力んでいた。しかし今はそんな気はない。自立推進グループ長として仕事は山ほどある。
さらなる行政のスリム化のため、町は今「事務等改善検討委員会」を月に1度開き、各課横断的に集まった若手職員が話し合っている。「国や県の補助金ありきではなく、自分たちのやりたいことが大事だという意識を若手にもってほしい」のだが、一度も発言せずニヤニヤ笑っている職員もおり、がっかりさせられることも多い。合併しない町の役場はまだまだ力不足だ。
◇ ◇
「昭和の大合併に懲りたんだよ……」と根本町長は言う。南部が旧矢祭村に編入された旧石井村は賛否が真っ二つに分かれ、縁の下まで潜り込んで相手方の様子をうかがうほど対立、「血の雨が降った」という。今も解消されないしこりを背景に、根本町長は「合併しない」と宣言。県内外の耳目を集め、昨年度は全国から1400人以上が視察に来た。この町で今、何が起こっているのか追った。=つづく(毎日新聞)
[2004年5月10日19時3分更新]
全国の地方議員が加入する3つの年金共済会が、いずれも5年以上連続で赤字に陥り、今年3月末での累積赤字が総計694億円に達する見通しであることが分かった。自治体が一部負担し、03年度に負担率が引き上げられたが、赤字は増大している。掛け金支払期間が最低12年と短いことなどが背景にあるが、今後、市町村合併で加入議員が減少し、さらに収支悪化が予想される。総務省は今後、自治体負担の引き上げも視野に制度見直しを検討する。しかし、公費負担があっても赤字となる実態に対し、負担の是非を含め抜本的な制度再考を求める声が高まりそうだ。
地方議員の年金は、退職後に原則として65歳から支給される。国民年金などへの加入も義務付けられる。
加入者が最も多い町村議会議員共済会は95年度に初めて28億円の赤字となり、以後は毎年度9億〜84億円の赤字。累積赤字は今年3月末で400億円を超える見込み。95年度に残高が700億円あった積立金も取り崩され、03年度末で350億円になる見通し。
市議会議員共済会は、累積赤字が03年度末で237億円になるとみられる。都道府県議会議員共済会も、累積赤字は03年度末で49億円と推計される。毎年度の赤字は積立金を取り崩して穴埋めしている。積立金残高はピーク時から2〜5割減少している。
各共済会は、寿命の延びによる受給の長期化▽バブル崩壊後の運用利回り悪化▽市町村合併による加入議員の減少…などが背景にあると説明。「掛け金支払いの最低年限が12年と短く、もともと給付の設定が議員有利で割高」(町村議共済会)との指摘もある。
総務省は、地方公務員等共済組合法を改正し、03年度から議員の掛け金の割合を議員報酬月額の11〜13%から12〜15%に、自治体の負担割合も議員報酬額の9.5%(一律)から10〜11%に引き上げた。さらに、03年度以降の退職者の受給額を原則約1割(03年度以降に就任した議員は約2割)カットした。同省公務員部は「状況は厳しく、自治体分も含めた負担引き上げの議論は避けて通れない」としている。【野倉恵】
■ことば(地方議員の年金)
議員報酬の一部と自治体の負担金を積み立て、12年以上在職した退職議員に支給される。在職12年未満の議員は退職時に一時金を受け取る。報酬月額が45万円で03年度以前から市議会議員の場合、3期12年なら年金年額は162万円となる。(毎日新聞)
[2004年5月9日3時6分更新]
市町村合併を控えた宮城県内の自治体の多くが2004年度、各基金を放出し、前年度比プラスを確保している。「自分の『貯金』は合併前に使いたい」という思惑が透けて見え、行政の効率化や財政基盤の強化といった合併の趣旨から逸脱するという批判も出そうだ。05年の合併を目指す「栗原市」(10町村)、「登米市」(9町)の両地域で実情を探った。
栗原、登米の両合併協議会を構成する自治体は財政調整基金について、基準財政需要額などの6%相当額を残し、新市に持ち寄るルールを設けた。減債基金や福祉基金なども一定のルールで残すが、それ以外の基金は合併までに自由に使えることになる。
JR東北新幹線くりこま高原駅がある志波姫町の本年度一般会計は、前年度比17.5%と急増した。ルール対象外の2基金(計約2億2000万円)を廃止し、将来の財源不足に備えて財調基金に積み直す一方、「栗原市の中心部に」と期待する駅周辺の道路整備に力を入れる。
「(ルール以上に)余分に新市へ持っていっても仕方がない、という思いはどこでもある」。栗原地域合併協会長の菅原郁夫若柳町長は基金についてこう話し、「町民の税金で集めたのだから、どこも地域還元の方向で考えるだろう」と言う。
積極予算は登米地域の方が鮮明だ。9町の普通建設事業費は64億4500万円で、実に前年度比24.4%の大幅増。その代償として9町は、財政調整基金の約半分に当たる18億円を取り崩す。
南方町は27億円を投じて役場を新築移転する。合併後は登米市の「分庁舎」として市民生活部が入居するという。「なぜ合併直前なのか」という素朴な疑問に、伊藤吉信町長は「合併後も南方地域の核は必要」と理解を求める。
東和町は3億5800万円を計上し、米谷、米川の両公民館を建て替える。「合併がなければ、両館の同時進行はなかった」と町幹部は認めるが、浅野敬町長は「合併後の拠点を今の町の責任で整備する」と強調、駆け込み批判をかわす。
駆け込み的な色彩の濃い予算編成に関し、県市町村課は「新市に財政的なしわ寄せがいくのであれば問題だが、合併協を構成する自治体間で合意して実施しており、駆け込みとは考えていない」との立場だ。
東北大大学院の吉田浩助教授(財政学)は「『けしからん』と見る人は少なくないだろう。だが自治体といえども無欲ではない。動機付けや誘因によって行動するものだと、冷静に受け止めるべきだ」と話し、住民が主体的にチェックする必要性を指摘している。
(河北新報) [2004年5月5日7時3分更新]
鳥取県江府町は職員に手当を支払わずに、合併をめぐる住民投票を今月実施する。
職員労組からの「町の未来を左右する重要な投票。職員としてボランティアで取り組みたい」という申し出を受けて決めた。投開票にかかわる約80人の全職員の時間外手当や特殊勤務手当計約450万円の節約となる。
江府町は県西部に位置し、人口約4000人。2004年度当初予算は35億2400万円で前年度当初より約2割削減するほど財政は厳しく、町総務課は「少額でもありがたい」としている。
同町は昨年8月に隣接する日野町と法定合併協議会を設置し協議を進めてきた。住民から住民投票実施を求める署名の提出を受け、福田正臣町長が条例案を提案。議会は全会一致で可決した。
住民投票での職員の事務は、投票所の開設や投票日当日の運営、開票作業など。町は手当を含めていったん、予算(約800万円)を計上し、手当分を減額補正する。
住民投票は今月18日に告示、24日に投開票される。(共同通信) [2004年5月2日16時11分更新]
現在3100ある全国の市町村はいわゆる「平成の大合併」で、2005年4月1日までに、約7割の約2100に再編される見通しであることが29日、読売新聞社の全国調査で明らかになった。
優遇措置が適用される市町村合併特例法の期限である来年3月末までに合併する市町村が多いためだ。その後に合併する市町村も多く、市町村数は将来、1700程度になる可能性がある。地方分権を支える市町村の規模は一段と拡大することになる。
調査は全国の本社、支社、総支局を通じて実施した。合併を目指す市町村でつくる法定と任意の合併協議会のうち、2005年3月末までの合併を決めたり、合併が確実となったりした協議会は352ある。参加している市町村数は1337だった。これらの合併が実現すれば、市町村数は、現在より985減って2115となる。
合併は、今年10月以降とする市町村が多い。特に、合併特例法の期限直前の来年1-3月に集中している。
政府は合併を促すため、優遇措置の期限を2006年3月末までに延長する市町村合併特例法改正案を今国会に提出した。同法案は今国会で成立する見通し。(読売新聞)
[2004年4月30日10時35分更新]
泰阜村の松島貞治村長は27日「村は市町村合併をせず、自立を選択する」と表明した。同日開いた村議会合併問題研究特別委員会が賛成多数で自立を決めたことを受けた“自立宣言”。今後は一層の行財政改革に取り組むという。
同村では14日に集計した住民アンケートで「自立に賛成」48.5%、「自立に賛成で村・議会の判断に任せる」1.5%▽「村・議会の判断に任せる」20.9%▽「合併に賛成」19.7%――という結果が出た。この日の特別委ではこれを基に議論が行われ、7対3で自立賛成が多数を占めた。
松島村長はこの結論を受け、(1)05年3月の合併特例法期限内には合併しない(2)それ以降、新たな合併構想が持ち上がったときには改めて検討する――などと表明した。自立に向け当面の目標として保育所の民営化、人件費の削減などを挙げた。
同村には昨年10月、阿南町が下伊那郡南部5町村による合併研究会の設置を申し入れており、松島村長は5月の連休明けにもこの日の結果を同町に文書で回答する。【肥田木良臣】(毎日新聞)
[2004年4月28日19時46分更新]
「平成の大合併」では初めて広島県が同県宮島町に合併促進を勧告したことに関連し、県の澄田信義知事は23日の定例会見で、県内では市町村の自主性を重視し、強制しない方針を示した。
県内の合併で勧告を行う考えがあるか、との問いに澄田知事は「一概に言えない」と断りつつ、「勧告は極力避けたい」と強調。「合併は市町村が自ら道を選択するのが基本」と従来通りのスタンスを示した。
広島県の勧告は地方自治法に基づく権限の行使。同法とは別に、新合併特例法が成立すれば、知事が合併協議会設置を勧告できるようになるが、澄田知事は、この勧告権についても安易に行使する考えはないとした。
(山陰中央新報) [2004年4月24日18時47分]
05年3月1日の合併を目指している鷲敷、相生、上那賀、木頭、木沢5町村の丹生谷合併協議会(法定)は22日、合併後初の町議選で各町村ごとの選挙区制を導入することを決めた。人口が少なく、議員を選出できなくなる可能性がある地域に配慮したもので、選挙区制導入を決めたのは県内の9合併協で初めて。
初選挙の定数は19人とし、鷲敷、相生各5人▽上那賀4人▽木頭3人▽木沢2人に割り振る。2回目からは、全町1区とし、定数を18に減らす。
新町は、約1万1500人の人口の4分の3以上が、鷲敷、相生、上那賀の3町に集中。このため、「新町が発足した重要な時期に議員選出が困難になる」と懸念する木頭村の委員から、選挙区制の要望が出ていた。
また、05年10月31日までは、合併特例法を適用し、現在の5町村の全議員52人が在任することも決めた。【中村敦茂】(毎日新聞) [2004年4月23日20時34分更新]
平成の大合併で初
広島県は20日、合併相手をめぐってこう着状態が続く宮島町に対し、速やかな合併先の決定を促す知事勧告を行う方針を決めた。地方自治法に基づく権限行使で、合併先を決める住民投票の早期実施を求める。総務省によると、都道府県が市町村に合併促進を勧告するのは「平成の大合併」では初めて。県が、町に合併住民投票を迫る異例の事態となる。
勧告は21日、藤田雄山知事名で佐々木雄三町長あてに出す。廿日市市か、広島市かで揺れる合併先を速やかに決め、市町村合併特例法の期限である来年3月末までの合併に向けて、早期に具体的な協議に入るよう求める内容となる。
県は3月にも、水族館事業会計の積立金を一般会計に借り入れ、補てんするなどした町の財政運営の適正化を勧告。町財政は破たん状況にあり事実上、住民への行政サービスを維持するには合併以外に方法はない、と通告した。
しかし同町では、政令指定都市の広島市か、対岸の廿日市市かの合併先をめぐる混乱が続いている。そうした中で20日、住民団体「宮島・幸せを求める会」(宮郷武会長)が佐々木町長に、合併先を二者択一する住民投票条例制定の直接請求を本請求した。
これを受け、県は早期に住民投票を実施し事態を打開すべきだと判断。前回より踏み込み、合併協議そのものを促す全国でも異例の勧告に乗り出すことを決めた。勧告に法的強制力はないが、町は尊重義務を負う。
県地域振興部は「町の行政サービスを維持するには合併が最も有効な手段と考える。町長も議会も住民投票を最後のチャンスととらえてほしい」としている。
▽やむを得ない措置
広島大大学院社会科学研究科・川崎信文教授(行政学)の話
合併は市町村が自主的に決めるのが原則で、勧告は一般的には望ましくない。しかし、単独町制を志向せず、合併先で意見が割れている宮島町の場合、やむを得ない措置とも受け取れる。
宮島町の財政状況
宮島競艇配分金に支えられてきた町財政は、配分ゼロになった2000年度から急激に悪化。世界遺産・厳島神社などを守る常備消防の経費も負担となり、03、04年度で町立水族館改修の積立金から一般会計に計12億円を借用した。04年度の一般会計当初予算19億7千万円に占める財源不足額は8億円に上り、今のままでは財政再建団体に陥る。「合併するしかない」との見方で町長、町議会も一致はしている。
(中国新聞) [2004年4月21日]
◇枠組みは8市町村に
厳木町議会(16人)は19日、本会議を開き、唐松地区9市町村の合併関連5議案を賛成多数で可決し閉会した。3月23日に特別委が否決していたが、18日の住民投票で、合併賛成票が約7割に上り、町民が示した合併推進の意向を尊重する形で決着した。
厳木町議会が可決したことで、同議案は七山村を除く8市町村で可決された。七山村は既に合併枠組みからの離脱を表明しており、今後の合併協議は唐津市と、東松浦郡のうち玄海町、七山村を除いた計8市町村で進められることになる。
この日は、前日の住民投票の結果に対し、反対派議員が多数を占める町議会の判断が注目された。傍聴席には約70人の町民が詰め掛ける一方、廊下では手書きで「合併賛成」と書かれた横断幕を掲げた町民が「住民投票は合併賛成です」などと議場に向かう議員らに呼びかけていた。
本会議の冒頭、田久保好範町長が住民投票の結果を報告。合併関連5議案を巡る討論で、合併賛成派議員は「(合併しなければ)町財政は数年で破たんする」「単独行政に展望はなく、合併は避けて通れない」などと訴えた。
一方、反対派議員は「情報が正確に伝わっておらず、住民投票は正しい判断ではない」などと主張。採決では、10人のうち7人が「合併には賛成出来ない」として退席、採決に加わらなかった。他の3人は「結果は真しに受け止める。町民の意思を無視すべきでない」と述べ議場にとどまった。
起立採決では合併反対派を含め、議場に残った8人全員が賛成し、傍聴席から拍手が起こった。大津保規議長は「前途多難だが、よりよい合併、よりよい町づくりのため誠心誠意努力しよう」とあいさつ。30日まで会期延長していた町議会を閉会した。
田久保町長は「ようやく新市構築に向けて動き出す。(賛成・反対両派とも)いつまでもしこりを残さず町の発展に尽くしてほしい」と話した。【田中操】(毎日新聞)
[2004年4月20日20時50分更新]